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米GDP成長率、下方修正の背景に「国境の壁」

 米国の2019年の国民総生産(GDP)成長率について、米金融機関や著名エコノミストが相次いで見通しを下方修正している。

 (1)金融大手JPモルガンは、19年1-3月期の成長率見通しを2・25%から2・0%へ下方修正した。

 (2)金融大手バンク・オブ・アメリカは、19年同期成長率を2・8%から2・2%へ下方修正した。

 (3)金融調査大手エバコアISI(エコノミストのエド・ハイマン氏が主宰)は、昨年12月末に19年成長率を2・5%から2・0%に引き下げたばかりだったが、さらに1・75%に下方修正した。

 こうしたGDP成長率の下方修正の背景には、ドナルド・トランプ大統領が推進する「国境の壁」建設費予算をめぐり、議会下院多数派の民主党と鋭く対立した結果、政府予算の失効を受けて一部政府機関の閉鎖が長期化したことが大きい。

 事実、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は1月中旬、トランプ大統領の強い批判を受けてか、講演の中で「われわれは長期に及ぶ政府機関閉鎖は経験しておらず、(そうなれば影響は)経済指標に明確に現れる」と語っていた。

 こうしたなかで、議会上院は24日、「国境の壁」建設費57億ドル(約6260億円)を含む共和党予算案と、2月8日までのつなぎ予算で国境の壁建設協議を先送りする民主党予算案をそれぞれ採決したが、両党案共に可決に必要な60票に届かず否決された。

 そこで、老獪(ろうかい)なナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は、壁建設ではなく不法移民の監視機器導入費に充当するのであれば、共和党案をのむと妥協案を示した。

 共和党内にも火種がある。

 ジェームズ・マティス国防長官更迭の理由となった「シリアからの米軍撤退」に反対する党内中道派が、政府機関閉鎖の長期化にも強く反発しているのだ。同党結束の岩盤に亀裂が生じたことに危機感を抱いた執行部が、大統領に妥協を促したのだ。

 すなわち、ホワイトハウスに対し、幼少期に不法入国した若者(ドリーマー)の強制送還を猶予する制度(DACA)を3年間延長することを求め、のませたのである。

 一方で、メキシコ国境の壁建設をめぐり、ホワイトハウス中枢で意見の対立があったことが明るみに出た。

 「ドリーマー」の味方である大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問と、強硬な移民反対論者であるスティーブン・ミラー大統領補佐官(政治担当)の攻防だ。

 トランプ氏は25日、政府機関の一部閉鎖を解除することで議会と合意したと発表した。議会上院は2月15日までの支出を手当てする「つなぎ予算案」を可決。下院の可決と大統領の署名を経て成立する。トランプ氏が求めていた「国境の壁」建設費は含まず、民主党に譲歩する形となった。だが、両者の隔たりは大きく、3週間後に再び混乱する可能性がある。 (ジャーナリスト・歳川隆雄)

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