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シリアから友人に届いた訃報に無力感

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆様!

 ロシアの冬、特に私が住むウラル地方の冬は、時に絶望的に寒いです。それは、私たちを試しているかのように感じさせる時があります。

 先日、私は灰色の低く垂れこもった雲の下で舞い散る雪の中を歩いている時に、自分の耳の中で、ある女性の最後の言葉が何度もリフレインしていました。

 前回のお話は、最終的には良い結末で終わりましたが、もうひとつのお話は、悲しい結果を招いてしまいました。今回は、私の身近にあったシリアのお話、の続編です。

 それは私がいつも頼む出張ネイリストのラーナから聞いたお話です。ラーナは32歳のシングルマザーで、幼稚園に通う4歳の息子と暮らしています。

 彼女の夫は3年前にシリアに行きました。後で知ったことですが、彼の任務地は激しい戦闘が続くアレッポでした。初めの3カ月間、彼女はアレッポにいる夫と頻繁に電話で話すことができたのですが、ある日から彼の携帯にかけても全く通じなくなりました。

 その1週間後に、ラーナの元に、“あなたのご主人はシリア・アレッポでの任務遂行中にテロリストの直撃弾を受けお亡くなりになりました”という公式の死亡通知が送られてきました。

 しかし、2年以上経った今でも現実を受け入れられない彼女は、夫がいつかひょっこり家に帰ってくると信じていて、子供には真実を伝えていません。そして、もちろん彼女は友人や親戚からの再婚の勧めにも全く興味を持ちません。

 仕事をしながら淡々とした口調で話すラーナの身の上話に聞き入っていた私は、自分の爪がどのような仕上がりになっているのかを見る事もすっかり忘れていました。

 最後に、私のネイルの仕上げをチェックしながら、静かな口調でラーナは、こう言いました。

 “もしも今、私に息子がいなければ、私は夫を探しに行くか、テロリストたちに復讐するためにシリアに行っただろう”と。

 私は、最後の短い言葉に集約された彼女の胸の内を聞いてしまい、何も返事ができませんでした。

 彼女の傷ついた心を癒やす方法は何ですか?

 私はこの時ほど、自分の無力さを感じたことはありません…。

 一ロシア市民として、早くシリアに平和が訪れることを心から祈ってます。

 では、ダフストレーチ(また会いましょう)!

■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルグの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザーTAMAKIと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。(crystalmint.info)

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