zakzak

記事詳細

「はやぶさ2」いよいよ正念場! 小惑星「リュウグウ」タッチダウンへ

 小惑星探査機「はやぶさ2」がいよいよ正念場を迎える。小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンの日程が決まったのだ。と、私が興奮気味に話しても「それって何?」という反応をする人が少なくなかった。それはそうだろう。太陽までの距離の2倍かなたにある直径約900メートルの小さな天体に、日本から送り込んだ探査機を誤差数十センチの精度で遠隔操作しようという、日常生活とはおよそかけ離れたミッションなのだから。

 「はやぶさ2」は昨年6月27日、リュウグウに到着。10月には、ソロバンの玉型の惑星の表面にそっと舞い降りる「タッチダウン」の予定だった。箱形の探査機本体の下に伸びる円筒「サンプラホーン」のラッパ型の先端を小惑星の表面にタッチし、数秒後に舞い上がる計画だ。

 この数秒間に、直径8ミリで5グラムの「タンタル」という金属製弾丸(プロジェクタイル)を発射し、表面にぶつける。その衝撃で舞い上がる表面の砂をサンプラホーン内にキャッチする。リュウグウはきわめて小さい天体なので引力は地球の8万分の1。小さな衝撃でも表面の砂粒はサンプラホーンの上部まで楽々と舞い上がる。それを捕獲しようというのだ。

 だが、到着したリュウグウはまったく想定外の小惑星だった。ゴツゴツした岩塊で覆い尽くされていたのだ。2005年9月12日、「はやぶさ初号機」が到着した小惑星「イトカワ」の表面とは雲泥の差。初めて「はやぶさ2」から送られてきた画像を見たチームは「何だこれは!」とがくぜんとしたに違いない。

 「はやぶさ2」の本体はタンスのような箱形で1×1・6×1・25メートルと小さい。だが左右に大型の鳥、まさにハヤブサの翼のようなソーラーパネルを広げているため、全体の大きさは14畳の部屋の広さに相当する。14畳大もの探査機のごく一部でも岩塊にぶつかれば大変なことになる。この探査機が安全に降りられる場所は果たしてあるのか?

 その検討のため、タッチダウンは年明けまで延期。詳細な表面の画像をもとに検討に検討を重ねてきたのだ。この数カ月、プロジェクトマネージャの津田雄一さんは、リュウグウ表面に立つ自分の姿が夢に出てきたという。「この岩、邪魔だ」と移動させようとする姿も。

 そして2月6日。久々の記者会見に姿を見せた津田さん、ミッションマネージャの吉川真さん、スポークスパーソンの久保田孝さんの表情はとてもにこやかだった。これまでの観測によって作成したリュウグウの詳細地図を大型画面に映し、「ここにタッチダウンします」と発表。決意と自信の宣言だった。

 タッチダウンは2月22日の午前8時頃。ネット中継でもその瞬間のハラハラ、わくわく、ドキドキが味わえます。管制室がある相模原市のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の一部門、宇宙科学研究所(宇宙研)では午前5時半にプレスセンターを開設、久々の熱い1日となる。

 「はやぶさ2」は小惑星リュウグウの表面から0・1グラムのサンプルを地球に持ち帰ることができれば成功という約290億円をかけたミッションだ。私も当然ながらこの日の未明には宇宙研入りします。(ノンフィクション作家・山根一眞)

関連ニュース

アクセスランキング