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失冠の羽生九段が1位 “戦国”を象徴…2018年獲得賞金ランキング

 日本将棋連盟では毎年、棋士の獲得賞金ランキング(10位まで)を発表している。

 賞金とは、タイトル戦やトーナメント棋戦の優勝賞金(準優勝も)のほか、予選の対局料、毎月の固定給も含まれ、イベントや出版の収入は別だ。

 固定給(正確には参稼報償金)とは、順位戦の対局料の代わりに、主に名人戦の契約金から毎月均等にして支払われる金額で、クラスによって大きく違う。違いを簡単に言えば、A級から1クラス落ちるごとに七掛けと言ってよい。これに他の棋戦の活躍度も加味して支払われる。

 昨年(2018年)のトップは、羽生善治九段の7552万円。タイトルをすべて失った年に1位とは皮肉だが、名人戦、ヒューリック杯棋聖戦、竜王戦と3つのタイトル戦に出場し、一昨年の竜王奪取の賞金が昨年入ったとすれば、この群雄割拠時代では当然と言える。

 囲碁界のトップの井山裕太五冠の、1億4696万円と比べるとかなり差があるが、ひと頃は七冠を独占していただけに当然であろう。羽生も20年以上前の七冠時代には、同額程度あったはずだ。

 2位は佐藤天彦名人の、5999万円で、3位が渡辺明二冠(棋王と王将)の5119万円と続く。

 賞金ランキングの順位を上げるには、竜王戦で活躍するのが一番で、本戦トーナメントや、挑戦者決定三番勝負の対局料(450万円)も大きいが、タイトルを一度取れば、優勝賞金の4320万円の他に、翌年防衛戦で敗れても、敗者の賞金と七番勝負の対局料で合わせて二千数百万円ほどになり、竜王1期で、7000万円を超えるからである。

 その他の棋戦は非公表だが、佐藤の獲得賞金を見れば、名人位の賞金も大体想像できるというものだ。また棋聖と王位を奪取した豊島将之二冠の賞金(4722万円)からも、タイトルの賞金は想像できると思う。

 棋士は勝負と同時に、将棋という文化を伝える役目を持っているが、夢を売る職業でもある。

 このランキングを見た少年たちが、自分も棋士を目指したいと思ってくれるだろうか。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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