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経済界の意向が教育に影響 児童虐待問題に策はあるのか 中教審会長に第一生命HDの渡邉会長選出

 通常国会序盤では厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査問題をめぐる与野党攻防が繰り広げられたが、野党の政府追及は迫力に欠ける印象を拭えない。

 こうしたことから、政府与党は年度末前の3月25、26日ごろの2019年度予算の成立に自信を深めている。

 従って、4月からの国会終盤の焦点は、相次ぐ児童虐待問題に移り、安倍官邸は、児童福祉法と児童虐待防止法の改正案国会提出・成立を目指す。

 ここでは、児童虐待問題の本源でもある「教育」について言及する。

 文部科学相の諮問機関に中央教育審議会(中教審)という組織がある。中教審は2月22日、総会を開き、第一生命ホールディングスの渡邉光一郎会長を経済界出身者としては4人目となる会長に選出した。

 戦後間もない吉田茂政権下の1952年6月、中教審は文相(当時)の諮問に応じて、教育、学術、文化に関わる政策を審議して提言する機関として設置された。

 その後、2001年の中央省庁再編によって、現在の文科相の諮問機関として位置付けられ、今日に至る。発足時の初代会長は日本学術会議の亀山直人会長であり、天野貞祐元文相、広島大学の森戸辰男学長が会長を引き継ぐなど、同ポストは「教育関係者の指定席」とされた。

 ところが、1998年6月に当時の日本経営者団体連盟(日経連)会長であった日本郵船の根本二郎会長が経済界から初めて中教審会長に就任したのだ。

 バブル経済崩壊後の苦境から抜け出すために、グローバル競争を生き延びる道を模索していた経済界が、そのための人材育成の重要性を提言するなかで、教育への関与を強めていった時期でもあった。

 その後、中教審会長の座は2代にわたって教育関係者が取り戻したが、2009年2月に再び経済界出身会長が誕生した。現日本商工会議所会頭である新日鉄(現新日鉄住金)の三村明夫会長である。

 三村氏の後任会長に慶應義塾大学の安西祐一郎塾長が就いたものの、15年2月に再び経済界から三井住友銀行の北山禎介会長が会長に迎えられた。

 そして、今回の渡邉氏の会長就任である。ますます、経済界の意向が教育に影響を及ぼすことになるのは必至である。

 さて、指摘すべきは児童虐待問題に関わる「教育」について、中教審がいかなる策を持っているのかである。寡聞にしてこれまで、同審議会が何らの提言を行ったとは聞かない。いま必要なのは「家庭教育」の見直しではないか。提言が待たれる。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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