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赤のみ連続28回…どうして“奇跡”が起きるのか?

★大人が少年に返る場所(4)

 話は前回の続きである。2000年9月、ベラージオのルーレットで、まさかの出目が連発した件だ。出目の全容は前回掲載した通りで、30回のゲームのうち、赤ばかり28回出たうえ、25回がたった6個の数字で占められていた。多く出た順に並べたものが【図1】である。

 さらに【図2】を見ていただきたい。これは出現回数上位6つの数字を回転盤上に示したものだ。いかに特定の数字に集中しているかがわかる。

 アメリカンルーレットは0から36まで38個の数字があるので、6つといえば約6分の1、全体の16%弱でしかない。それが出目の80%以上を占めているのだから普通ではない。

 でも、だからといって、何か不正なことが行われているというわけではない。そんなことをしたら即刻営業停止に追い込まれるし、カジノやディーラーには何の得にもならない。

 ではなぜ、こんな出目が生まれるのだろうか。それを解くカギが一つある。ルーレットでこうした奇跡の出目が出るのは、少なくともぼくの経験では、主にラスベガスやカナダ、または伝統あるヨーロッパのカジノに限られているということだ。

 シンガポールなどアジアの新興カジノではこうした出目はほとんど見たことがなく、むしろバラバラに出るのが当たり前だ。

 ■アジアのカジノではなぜ奇跡が起きないのか?

 両者で何が違うかといえば「ディーラーの手腕」だ。とりわけルーレットは歴然としている。プロ野球の投手と草野球の投手ほどの違いがあるといってもいいかもしれない。

 理由は単純だ。欧米のカジノでは熟練ディーラーがいるが、アジアの新興カジノはディーラーも急ごしらえで養成しているからだ。まさに「玉の行き先は玉に聞いてくれ」といったレベルで、中にはチップの枚数をさっと数えられない人もいる。そうした技能の違いが出目と無関係であるはずがない。

 ■奇跡の出目のワケとは?

 ディーラーはカジノの花形だが、あまり給料は高くなく、客からのチップはありがたい。マンガや映画では天才ディーラーが金持ちから巻き上げるシーンが登場するが、現実のカジノでは、逆に気前の良い客に勝ってもらい、チップを弾んでもらったほうがずっと合理的だ。

 もしもあなたがディーラーで、自分のテーブルにお礼のチップをたくさんくれる客がいたとしよう。当たり続ける限りチップをくれるなら、何とかして当てさせてやりたいと思うはずだ。

 そんな時、どうすればその人が当てやすいだろうか? 38個ある数字にバラバラに落とせば当てやすいだろうか? それとも同じようなところに落としたほうが当てやすいだろうか…?

 それが奇跡の出目が生まれることの「幾つかあるうちの答えの一つ」だろう。天才ディーラーが交代し、いい夢を見させてもらったとぼくは思った。ところが夢には続きがあった。 (作家・松井政就、つづく)

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