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トランプ大統領は対中、対日貿易交渉で「成果」熱望 20年大統領選見据え

 ドナルド・トランプ米大統領は21日、遊説のため米中西部のオハイオ州入りした。トランプ氏が直前の16、17両日にツイートした内容が、すべてを物語っている。

 「経済が好調のため、ゼネラルモーターズ(GM)はオハイオ州ローズタウンの工場を早期に再開しなければならない。違う形か新規のオーナーを探す、とにかく、すぐにだ! トヨタは135億ドル(約1兆4947億円)の投資を行う、その他も同様だ。GMは速やかに行動しなければならない。時間がない」

 翌日のツイッターには、工場閉鎖への不満を述べた上で、GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)の名前を挙げて、「売るか他の策をすぐ講じるようお願いした」と投稿している。

 なぜ、このトランプ・ツイートが重要なのか。その理解のためのキーワードは「WOMP」である。  

 2020年米大統領選の行方を左右する重要州のウィスコンシン州(W)、オハイオ州(O)、ミシガン州(M)、ペンシルベニア州(P)4州の頭文字である。

 経営不振に陥ったGMが閉鎖を発表した2工場は、オハイオ州ローズタウンとミシガン州ハムトラミックにある。と同時に、トランプ支持の岩盤とされるWOMP州は大豆栽培で有数の生産地域であり、全米トップ20にランクインしている(O=6位、M=13位、W=16位、P=19位)。

 「ディールメーカー(取引人)」を自任するドナルド・トランプ氏は分かりやすい人物である。日米貿易交渉における最大の難題は、米国が求める自動車対米輸出の「数量制限」回避だ。

 トヨタ自動車の豊田章男社長は3月15日、ワシントンで7・5億ドル(約830億円)の対米投資と約600人の雇用を増やすと、大々的に発表した。

 4月から始まる日米貿易閣僚級協議を前に先手を打ったのだ(=ちなみにツイートにある「135億ドル」は、トヨタの21年までの総投資額)。

 一方、中国の習近平政権は米中貿易戦争のただ中の昨年12月から、米国産大豆150万トン超(約5億ドル=約553億円=相当)の輸入を再開している。

 ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は28、29両日、北京で劉鶴副首相と米中合意に向けて最終協議を続ける。そして、中国側はGMの閉鎖工場を買収するというサプライズまで検討しているというのだ。

 「利の人」トランプ氏は、民主党大統領予備選に出馬する候補が出そろう6月までに対中、対日貿易交渉で「成果」をわが手にしたいのである。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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