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「老け顔」人気で大抜擢!? 中国共産党での出世を左右する「運」

 中国の政界で、共産党中央政治局員(約25人)クラスにまで上り詰めようとすれば、天文学的な確率を乗り越えなければならない。

 政界通がよく使う言葉を借りれば、「人生で3度くらいは、大幸運に恵まれなければ」たどり着けないということだ。

 選ばれる「幸運」もあれば、自ら勇気を振り絞って飛ぶことでつかむ「幸運」もある。

 多いのは偉い人が地方に視察に来て一本釣りされるパターンだ。

 いずれせによ約9000万人の党員の中で、頭角をあらわすとなれば、実力ばかりではない。「運」も極めて重要な要素なのである。

 さて、「運」についていえば、最近、面白い「運」を発揮した地方幹部がいる。

 今年、雲南省楚雄州大姚県の政治協商会議副主席に選出された李忠凱という若手だ。

 きっかけは、昨年、新たに抜擢された地方幹部として李の写真がウェブ上に掲載されたことだった。写真を見た全国のネチズンたちが、「写真が間違っているのではないか」と指摘し、騒ぎになったのである。

 ネチズンたちがそう指摘した理由は、「80后幹部」(1980年代以降に生まれた幹部)と紹介されているのに、写真の中の李は、どうやっても60代にしか見えなかったというものだ。

 指摘を受けて現地政府と党委員会は、早速調査チームを結成。ややあって「(写真は)間違いなく李本人」であり、「(生年月日も)間違いなく、現在李は38歳だ」と発表したのだった。

 すると今度は、「38歳でこれほど老けるとは。共産党の地方幹部とはなんて激務だ」との声がネットに渦巻き、「ぜひ、動画で李の姿を見たい」となった。テレビ局はすぐにこのニーズに応え、テレビカメラを抱えたクルーが雲南の山奥にまで押しかけたのである。

 李の名は、この騒ぎで一躍「全国区」となり、メディアにも頻繁に登場する人気者となった。

 一夜にして国民的人気を博した李を、人民との繋がりを重視する中国共産党が放っておくはずはない。すぐさま、地方の貧しい地域で粉骨砕身する若き幹部として李を模範党員に仕立て上げる。

 冒頭に触れた政協副主席への「抜擢」は、宣伝意味を含んでいるとみて間違いない。

 老け顔で大出世とは、人の「運」とは、どこに転がっているかわかったものではない。

 李は確かに真面目で、仕事っぷりも評価されていたとはいえ、そうした評価だけで北京まで昇っていけるものではない。だが李は、「どう見ても38歳には見えない」容姿のおかけで、中央政界へと続く階段に足をかけたのかもしれない。

 中国の政治家が「運」を大切にし、風水師を手放さないのも、うなずけるというものだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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