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病院経営直撃!外国人の支払いトラブル 治療費払わずトンズラも…東京五輪に向け対策急務

 年間3000万人を超えた外国人旅行者は2020年東京五輪・パラリンピックに向け、さらに増える勢いだ。だが医療関係者は、けがや病気で受診する外国人の“お勘定”に頭を悩ませている。旅行保険に未加入でクレジットカードもない患者もいる。日本で無保険のまま入院すると、超高額請求になることも。結局、病院側が踏み倒されるケースもあり、関係者は戦々恐々だ。

 17年1月、都内で観光中のタイ人女性が心臓発作で東京医科歯科大病院に運ばれた。複数回の手術とリハビリで入院は2カ月半に及んだ。治療はスムーズに進んだが、問題は、約1500万円に膨れあがった治療費。女性は旅行保険に入っておらず、分割して支払うことに。まだ完済していないという。

 西日本のある病院では、外国人患者が治療費を払わないまま帰国。「あの病院では治療費を払わずに済んだ」という噂まで、インターネット上で広まってしまった。

 払ってもらえない治療費を医療業界では「未収金」と呼ぶ。厚生労働省の調査では、18年10月の1カ月間に全国の約2000施設が外国人を診療。2割近くの施設で未収金が出ており、1件1000万円を超える例もあった。

 国などによる外国人患者受け入れの詳細な手引書もあるが、さまざまな内容が盛り込まれているだけに、忙しい医療現場で参照するには不向き。東京医科歯科大病院の二見茜国際医療部副部長は、未収金問題に絞った「見てすぐ分かる」マニュアルを作った。

 例えば「旅行保険に入っている、または保険未加入だけれどクレジットカードは持っている」という人が入院した場合は、未収の危険性が高い「緊急」にランク。費用が多額になる可能性があるため、母国の家族からの送金などで早めに保証金を預かったり、カードの限度額を一時的に引き上げたりしてもらう。

 旅行保険未加入で、カードもない患者はさらに緊急度が高く、早めに支払い方法を相談する必要がある。

 「旅行保険に加入」か「カードあり」で入院しない場合、治療や検査の内容を理解できる言語で前もって説明し、大まかな治療費も示して同意を取るのが有効とした。

 別枠の「特別な配慮が必要」としたのは、保険もカードもなく滞在資格(ビザ)が切れている、難民など人道的な支援が必要な患者。支払いが困難な患者向けの公的制度を利用できるよう、行政と連携して支援する。

 二見氏は「患者のお金が足りなくても診療を拒んではいけないが、実際に困っている医療機関は多い。日本の医療を維持するためにも、治療への対価はきちんと払ってもらう必要がある」と指摘する。インバウンドが増えるのはいいが、今後、こういった問題も続々と起きそうだ。

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