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【国家の流儀】北方領土を諦めさせるKGB対日工作 丸山議員発言より問題ある外務省

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 日本は、ロシアの情報工作に振り回されているのではないのか。

 北方領土を戦争で取り返すことの是非を元島民に質問し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員に対する異常なバッシングを見ていると、そう思わざるを得ない。

 わが国は、ソ連による不法占拠に抗議し、北方領土返還運動を繰り広げてきた。毎年2月7日には、首相出席のもと、「北方領土返還要求全国大会」を開催している。だが、世の中の関心は必ずしも高くない。

 実は、関心が高くないのではなく、関心を持たないよう工作をされてきたというべきなのだ。何しろ、ロシアはソ連時代から「対日工作」を進めてきた。

 自国に都合の良い情報を、相手国の学者やマスコミを使って意図的に流布させることを「アクティブ・メジャーズ(積極工作)」と呼ぶ。ロシア政府部内には、そうした対外情報工作を担当する専門部局が設置されている。

 この対日宣伝工作のうち、北方領土の返還を日本側に諦めさせるための対日宣伝工作活動が存在する。「コリャーク作戦」と呼ばれるこの作戦の存在を暴露したのは、ソ連・KGB諜報員だったスタニスラフ・レフチェンコだ。

 彼は1975年から79年まで、東京のKGB駐在部に勤務して対日工作にあたり、その後、米国に亡命した。そして、82年7月14日、米国連邦議会下院情報特別委員会聴聞会において、対日工作の目的の1つが、北方領土問題であるとして次のように証言している。

 《コリャーク作戦をおこなうためのきわめて高度な活動を維持する。この作戦は、千島列島に軍を派遣したり、北方領土に新たな集合住宅を建設するなどによって、ソ連の意図に対する日本の認識に影響を及ぼし、この領土におけるソ連の支配に対して異議を唱えることが無駄なことだと日本政府に示す》(佐々木太郎著『革命のインテリジェンス』勁草書房)

 この対日工作はいまなお継続中と見るべきだ。

 今年5月10日、モスクワで河野太郎外相と会談した、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は共同記者発表で「第二次世界大戦の結果を全面的に認めるべきだ」と述べ、会談で北方領土はロシア領であることを認めるよう迫ったことを明らかにした。だが、その際、河野外相は異議を唱えるべきだったが、そうしなかったという。

 同じく、10日に開催された自民党外交部会・外交調査会の合同会議において『2019年版外交青書』に、18年版まであった「北方四島は日本に帰属する」との表現がなくなっていることも発覚した。

 外務省の方が、丸山議員の発言よりも問題ではないのか。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『天皇家 百五十年の戦い』(ビジネス社)など多数。

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