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トランプ氏来日で重要課題は…強固な日米関係示す「絵」 貿易交渉の本格化はまだ先

 25日にトランプ米大統領が国賓として来日する。安倍晋三首相とのゴルフや大相撲観戦、護衛艦への乗艦なども予定されているが、日本側にとっての優先課題は何だろうか。

 現時点で日本外交として望ましいのは、強固な日米関係を国際社会にアピールすることだ。

 トランプ大統領は「米国第一」を打ち出し、各国ともめている。ところが、安倍首相とトランプ大統領との個人的関係は極めて良好であり、日米関係はかつてないほどに強固になっている。

 世界各国から見れば、日米関係は羨望の対象だろう。おそらく、米中貿易戦争でボコボコにされている中国の習近平国家主席は、安倍首相に複雑な感情を抱いているのではないか。トランプ大統領の強気の背後に、安倍首相の存在を感じているだろう。

 米中貿易戦争について、マスコミは両国の関税の報復合戦に焦点を当てている。しかし、経済的観点では、それぞれ相手国からの輸入品価格がどれほど自国の物価を上げるかがポイントとなる。

 現状では米国の物価はほとんど上がっていない。これは米国が中国からの輸入品に関税をかけても、大半が代替可能なので、価格に上乗せができず輸出元の中国企業がかぶっているという構図だとみられる。このため中国経済への打撃は大きい。

 一方、中国の物価は、特に食品価格が上昇している。これは関税が上乗せされ、中国の消費者が割りを食う形だ。

 このままでは中国経済はボロ負けだ。といって、米国が中国に要求する産業補助金等の撤廃は、一党独裁の共産主義を根底から覆しかねないものなので出口が見えない。習主席は、安倍首相がトランプ大統領の機嫌を直してくれるなら、頼みたいほどではないか。

 米国第一主義を批判する一方で、当面の米国との修復策を模索するのが外交だ。その時、トランプ大統領へのパイプ役として安倍首相の存在は大きい。

 15日には、イランのザリフ外相が急きょ来日し安倍首相との面会を求めた。イランは米国と抜き差しならない関係になっているので、藁をもすがる気持ちで、日本に仲介役を担ってもらいたいところだろう。

 日米の強固な関係を国際社会に見せつけるうえで必要なのは、首脳会談ではなく、令和初の国賓であること、ゴルフ、相撲観戦や護衛艦乗艦といったテレビ映りのいい「絵」だ。

 首脳会談にはつきものの共同声明も今回は見送られる可能性がある。これをマスコミは、貿易交渉が困難だからと説明しているが、やや疑問だ。

 日米の懸案は自動車関税であるが、これは米欧間の懸案でもある。もともと自動車は代替可能性が低いので、関税をかけると米国内の価格が上がり、米国民が損をこうむる恐れがある。

 トランプ大統領はこの状況を見極めているのだろう。安倍首相も米国の事情を分かっているので、日米貿易問題を先送りしてきた。そうした意味で、今回のトランプ大統領の訪日、天皇陛下への謁見も重要な意味を持つ。交渉は困難というより、まだ実質スタートしていない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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