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トランプ大統領夫妻の日本訪問で気になる報道… 天皇・皇后両陛下への「贈り物」が持つ意味

 ドナルド・トランプ米大統領とメラニア同夫人の日本公式訪問に関する新聞報道で気になったことを書く。

 天皇、皇后両陛下は5月27日午前、皇居・宮殿の竹の間でトランプ大統領夫妻と会見された。

 天皇陛下が国賓と会見した際には、贈り物が交わされることになっている。両陛下からトランプ氏、メラニア夫人への贈り物、そして夫妻から天皇陛下、皇后さまへの贈り物については、宮内庁発表であったにしても朝日新聞が一番詳しく伝えていた。

 それにしても、筆者は若干の不満を覚えた。

 同紙は27日夕刊で「天皇陛下に米国で80年以上前に作られたビンテージのビオラ、皇后さまには出身大学のハーバード大学構内の木で作られたペンなど卓上の文房具が贈られた」と紹介している。

 だが、筆者の手元にあるホワイトハウス発表文(英文)を読むと、そのビオラと文房具の持つ意味がよく理解できる。直訳する。「1938年製のビンテージビオラ。特製ケース入り。米国人作曲家、アーロン・コープランドのサイン入りの写真と大統領のサイン入り額縁写真」と、「ホワイトハウス・デスクセット(ハーバードツリー製の万年筆)。皇后さまがハーバード大学で経済を勉強されたことにちなんで、大学構内にある楢の木で作った万年筆。メラニア夫人のサイン入り額縁写真」である。

 天皇陛下がビオラを弾かれることは知られている。

 20世紀初頭、アパラチア山脈に囲まれて豊富な石炭と鉄道敷設によってチャールストン(ウェストバージニア州)は、化学・ガラス・木材産業の中心地として栄えた。同地出身のビオラ職人、アイバン・アリソンの作である。

 陛下は、有名な「アパラチアの春」のコープランドにも関係がある。学習院OB管弦楽団の演奏会で同氏の作品を演奏しているのだ。

 寡聞にして、トランプ氏がクラシック音楽をたしなむとは聞いていないが、国務省に蘊蓄(うんちく)に長けたスタッフがいたに違いない。実は、その国務省からの大統領随行員は1人もいなかった(=ウィリアム・ハガティ駐日大使が国務省を代表した)。

 この事実だけからしても、今回の大統領訪問に懸念される外交案件がなかったことが分かる。端から親善と貿易がテーマだった。

 貿易交渉での「密約」が取り沙汰されたが、自動車の対米輸出の「数量制限」を求めないとの約束は、今回でなく4月の首脳会談で交わされた。

 トランプ氏が上機嫌で帰国したことが、最大の成果である。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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