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高齢ドライバー対策が急務 踏み間違い防止装置取り付けに補助金

 「たった一瞬で私たちの未来は奪われてしまった。悔しくて、悔しくて仕方がない」

 4月、東京・池袋で横断歩道を渡っていた母子が、87歳の高齢者が運転する車にはねられた。突然、妻と娘を亡くした夫の訴えに誰もが涙し、重大かつ喫緊の社会問題だと再認識した。

 交通事故発生件数そのものは減少傾向でも、高齢運転者による事故割合は年々増加している。

 警視庁の統計では、高齢運転者の交通事故の人的要因は、脇見や考え事などによる「発見の遅れ」が8割を超え、「判断の誤り」が約10%、「操作上の誤り」が約8%と続く。

 加齢に伴う身体機能の変化も踏まえながら、痛ましい事故をなくしていくために東京都は今月、庁内に新たなプロジェクトチームを設置した。

 安全運転の確保策や、交通不便地域の高齢者移動支援に向けた実証実験など、対策のとりまとめを急ぐ。

 75歳以上の免許保有者は10年でほぼ倍増し、550万人を超えている。

 運転免許の自主返納を促進するためのインセンティブとして、タクシーの乗車料金の割引、信用金庫の金利上乗せから、なんと墓石工事代金10%割引までメニューはそろっているが、さらなる智恵と工夫が必要だ。

 緊急対策として、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐなど、事故防止に効果的な装置の取り付けに対する補助金を新たに実施することにした。

 運転中、誤って踏み込んでもアクセルが作動しない後付けの装置で、来週にも、私自身が体験する予定だ。

 現在、わが国は65歳以上の人口は28%近くを占める。「令和」の時代は、高齢化と人口減少が同時に進行し、特に、高齢化対策は待ったなしだ。

 交通事故対策のみならず、経済や社会保障など、これまでの常識では太刀打ちできない局面を打開するための「パラダイムシフト」が求められている。

 誰もが安心して暮らし、いきいきと活躍する中で成長を生み続ける「成熟都市」であるため、さらなる進化が必要だ。人口減少の中にあってもわが国の経済を力強く牽引(けんいん)していく「成熟都市」になることが首都としての使命であると考える。

 令和時代に待ち構える「壁」をにらみながら、新たな発想で大胆に首都としての挑戦を重ねていきたい。(小池百合子・東京都知事)

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