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安倍首相は“仲介役”というDNAを継承している 父・晋太郎氏は「停戦」働きかけ… 12日からイラン訪問

 「地球儀俯瞰外交」を唱える安倍晋三首相は、12~14日までイランを訪問する。最高指導者(イマーム)ハメネイ師と、ハサン・ロウハニ大統領と会談する。

 穏健派のロウハニ氏が2017年5月19日の大統領選で、強硬派のエブラヒム・ライシ氏に圧勝・再選された直後、安倍首相は「この度の勝利は、閣下の掲げる国際協調路線への信任である」との祝辞を発出した。

 まさに、その翌日、ドナルド・トランプ米大統領はサウジアラビアを公式訪問した。21日に開催された米アラブ・イスラム・サミットには、サルマン国王をはじめ、アブドラ・ヨルダン国王、エルシーシ・エジプト大統領、ジョコ・インドネシア大統領らが出席した。トランプ氏はアラブ諸国への強いコミットメントを国際社会に意思表示したのである。

 事実、同行したレックス・ティラーソン国務長官(当時)は記者会見で「イランのテロのネットワークへの資金提供、人材供給・後方支援を直ちに止めるべきだ」と語った。

 トランプ政権は、発足時から今日まで「イラン敵視政策」をとってきたのだ。日米同盟堅持の安倍政権ではあるが、イラン政策に関しては歴史的にも対米追随ではない。

 ここで読者のために、中東地域情勢の理解に最小限必要な基本知識を記す。イスラム教には多数派の「スンニ派」と、後発で少数派の「シーア派」の二大宗派がある。

 スンニ派は、預言者ムハンマドのスンナ(慣行)に従う人々で、ウンマ(イスラム共同体)を重視する。聖俗の長はカリフ(代理者)であり、サウジアラビアやエジプトなど、アラブ・北アフリカ諸国と、インドネシアなど一部アジア諸国だ。

 シーア派は、第4代カリフであるアリーとその血統を重視し、聖俗の長はイマーム(指導者)で、イラン、イラクなど少数である。換言すると、アラブ民族主義とペルシャ主義の対立である。

 そして、「イラン・イラク戦争」。1980年9月にイスラム革命を主導したホメイニ師のイランと、バース党を率いたサダム・フセイン大統領のイラクが領土紛争を機に全面戦争に突入した。米欧から中国、ロシア、北朝鮮まで巻き込んだ複雑怪奇な構図であった。停戦が実現するまで8年を要した。

 その過程の83年8月、安倍首相の父、晋太郎外相は両国を訪れて、停戦を働きかけた経緯がある。秘書官として同行した安倍首相には仲介役というDNA(遺伝子)が継承しているのだ。

 今回のイラン訪問で目に見える「成果」は難しい。だが、存在感をアピールできることだけは間違いない。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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