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文大統領、脱原発宣言は映画の影響!? 感涙して決断…“映画政治”の危うさ 近いうち冷厳な現実に接し大泣きか

 韓国政治の局面にしばしば出てくるのが、「映画政治」とでも呼ぶべき現象だ。少女が強制連行されて慰安婦にされ、最後は集団虐殺されるという大ウソ映画「鬼郷」が、国民的憤怒を呼び、今日の慰安婦問題をめぐる状況に結びついているのは、その典型だ。

 特徴的なことは、国民の大多数が娯楽映画の真偽不明の内容を“事実”と信じるだけでなく、為政者まで映画で知った“事実”を重視し、政策づくりに当たることだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昔から映画が好きらしい。彼は映画を見て泣き、その勢いで重大な決断をする。一国の大統領として、これほど危険な意思決定過程はない。

 文氏ほど、よく泣く大統領は世界にいないだろう。

 韓国ではかねて、加湿器の水に殺菌剤を混ぜることが流行していた。やがて死亡者も出て、殺菌剤メーカーに対する訴訟になった。2017年8月12日、文氏はその被害者たちと会って話を聞くうちに泣いた。

 翌13日には、光州(クワンジュ)事件をテーマにした映画「タクシー運転手」を観賞して泣いた。15日は光復節。その式典で「その日が来たら」という歌を合唱しながら泣いた。16日はセウォル号の犠牲者遺族と会い、また泣いた。

 これだけ泣けば、涙もかれるだろうと思っていたら、12月22日、堤川(チェチョン)市の大火災の遺体安置所を弔問して、また泣いた。

 当時、大統領府が「大統領の涙」を積極的に広報したのは、おそらく「国民とともに悲しむ大統領」というイメージを高めようとしたからだろう(本連載17年12月24日『やはり国中がセウォル号』参照)。

 しかし、「すぐに泣く大統領」のPRは芳しくなかった。それで、最近は「大統領が涙」の発表がなくなったのかもしれない。

 「そもそも、ウソ泣きだったのではないか」と疑う向きもあろうが、彼は本当に涙もろいようだ。大統領になる前に、映画を見て泣いた記事だけでも随分とある。

 12年には、映画「王になった男」を見て、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を思い出して大泣きし、大統領選出馬の意思を固めた。14年は家族愛をテーマにした映画「国際市場で逢いましょう」を見て泣いた。

 16年には、原発事故をテーマにした映画「パンドラ」を見て泣いた。

 この映画は、専門家から「原発の危険性を誇張・歪曲(わいきょく)した非科学的映画」と酷評された。しかし、文氏は「みんなが見てくれればと思う映画だ。涙がたくさんこぼれた」と述べただけでなく、「脱原発国として歩むべきだ」と宣言した。

 そして、大統領に当選すると、その時の宣言どおり「国内では脱原発」政策を推進している。ところが、海外では原発建設プロジェクトの受注に走り続け、チェコでは「韓国は現在24基の原発を運営中だが、過去40年間の運営で1件の事故もなかった」と、大ウソまで吐いた。

 映画「パンドラ」を見て泣いた彼と、チェコで大ウソを吐いた彼と、どちらがホンモノなのか。

 どちらでも構わないが、近いうちに彼は、映画ではなく冷厳な現実に接して、独りで大泣きすることになるのではあるまいか。大統領府は決して、その「大統領の涙」を発表しないだろうが…。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。

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