zakzak

記事詳細

羽生善治九段に連勝! “谷間の世代”木村一基九段、7度目の挑戦へ

 平成の時代、あれだけ羽生善治九段を筆頭に、一団で将棋界を席巻されては、当然ながら割りを食った世代が出てくる。

 この羽生世代より2~5歳下の世代にも、才能溢れる棋士は多くいた。

 それが歳の順に、深浦康市九段、木村一基九段、行方尚史八段、三浦弘行九段、久保利明九段らである。

 この中でタイトル経験者は、久保の7期(棋王・王将)を筆頭に、深浦が3期(王位)。三浦は1期だが、無敵の羽生七冠の時代に、初めてその一角を崩した(棋聖奪取)ことが印象に残る。

 また行方は、名人戦の挑戦者になったし、木村もタイトル戦出場は6回を数える名棋士だ。

 しかし彼らが、羽生世代に抑え込まれてきたことに間違いはない。その間に渡辺明二冠が台頭し、後輩にも壁を作られ、羽生世代の勢いが衰えた頃には、現在30歳以下の若手棋士達がタイトルを奪取するといった、谷間世代になったのだ。

 特にこの一局を勝てばタイトル獲得、という一番を8回負けた木村にとっては(このままでは終われない)という気持ちは強いのだと思う。

 私は令和に代わって初の本欄で、令和時代の将棋界を占ったことがある。最初は豊島将之二冠(当時)と渡辺二冠、そして若い世代中心とだけ書こうとしたが、木村が5月初めの時点で、王位リーグで3連勝している(まだ3勝だが)のを見て、気が変わった覚えがある。

 今回の木村は違う。王位戦は来るなと感じたのである。

 木村も今月で46歳となり、対局以外の仕事、特に立ち合いのような、昔なら第一線から退いた棋士に回ってくるような仕事も増えてきた。

 ただしこれは一線から退いたわけではなく、新聞用の若い解説者要らずの的確な判断力、大盤解説者としても一級品の上に、人当たりがいい(お酒付き合いも)と3拍子揃っているからだ。

 しかし、勝負の上ではまだやり残したことがある木村が、竜王戦の本戦入り、王位戦挑戦者決定戦と続けて羽生を破ったところに今期の本気がうかがえる。

 もし王位戦で豊島を破れば、初タイトルの最年長記録(有吉道夫九段の37歳6カ月)を大幅に破る記録となる。注目の七番勝負だ。

 ■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

関連ニュース

アクセスランキング