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今こそかみ締めたい標語 せまい日本、そんなに急いでどこへ行く(昭和48年)

 警察の標語が全国的な流行語となった。さぞかしお上も面目躍如といったところだろう。これは全国交通安全運動の標語で、高知県のある中年警察官の応募作品が採用されたものだ。前年の流行語「のんびりいこうよ、俺たちは」(テレビCM)に続いて、昭和44(1969年)に流行した「モーレツ」を見直していこうよ、という時代の気分にマッチした。

 この年の主な事件は、「70歳以上の老人医療無料化実施」「浅間山大爆発」「国民の祝日法改正公布。祝日が日曜日と重なる場合は、翌日を振り替え休日とする」「東京都江東区、杉並区からのゴミを実力阻止」「日航機、アムステルダム上空でアラブゲリラにハイジャック」「来日中の韓国新民党元大統領候補・金大中、東京のホテルから白昼強制連行(金大中事件)」「中央線国電にシルバーシート登場」「田中角栄首相、仏、英、西独、ソ連訪問に出発」「江崎玲於奈、ノーベル物理学賞受賞決定」「関西でスーパーのトイレットペーパー買い占め騒ぎが発生」「政府、石油緊急対策要綱決定」など。

 この年の映画は『仁義なき戦い』『ジョニーは戦場へ行った』。本は、山崎豊子『華麗なる一族』、五島勉『ノストラダムスの大予言』など。プロ野球の巨人がV9を達成。テレビでは『子連れ狼』がはやった。

 まるで成長期の子供のようにセカセカしていた時代は過ぎ、成熟した日本経済はもっとどっしりと構えていいはずなのに、昨今の状況を見ると、今こそこの標語をかみしめるときみたいだ。

 昔よりももっと日本は狭くなったはずだ。世界だってそうだ。そんなに急いでどうする。そんなに働いてどうする。遅れたっていいじゃないか。そろそろ、そんな標語が必要なのかもしれない。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和48(1973)年の流行歌〉 「神田川」(南こうせつとかぐや姫)「なみだの操」(殿さまキングス)「あなた」(小坂明子)

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