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“窮鼠”ファーウェイは独自開発の道へ… アメリカの戦略は正しいのか

 ファーウェイ(華為技術)へのアメリカの攻勢は、同社が製品づくりにおいてアメリカのハイテク企業にその部品を依存している弱点を鋭く突いたものだ。

 ZTE(中興通訊)への制裁で同社があっという間に干上がった経験から、ファーウェイにも通じると考えたのだろうが、そこは任正非CEO(最高経営責任者)が自ら語っているように「ファーウェイとZTEは違う」のだ。

 何が違うのか。

 まず、逆風の第1陣となる半導体の供給ストップという問題に対し、ファーウェイには海思半導体(ハイシリコン)という傘下企業があり、ある程度このような事態に陥ることを想定していたことが挙げられる。ファーウェイの「エンティティリスト」入りが公表された直後、ハイシリコンの何庭波総裁は、従業員に向けた手紙を通じ、「われわれが長年準備してきたスペアタイヤを使う時が来た」と、その対応力を宣言した。

 とくに「5G」対応の半導体に関しては、ライバル・アップルがクアルコムとの訴訟を抱えて半導体の供給が受けられないことに対し、「ハイシリコンから供給してもいい」といった提案までしているほどだ。

 クアルコムやブロードコムなど、取引のある米半導体メーカーが取引を見合わせるという逆風に続いて、ファーウェイを襲ったのはグーグルが取引停止を宣言した。

 このことはクアルコムやブロードコムとの関係とは違い、少なからずファーウェイには打撃になると考えられている。

 グーグルのサポートなくしてOS(基本ソフト)であるアンドロイドを使い続けることには、困難を予測する声は少なくないからだ。

 グーグルマップやユーチューブ、Gメールが新しいスマホに組み込めなくなれば、これらのアプリに慣れてしまった日本や欧米のユーザーがファーウェイを敬遠することは避けられそうにない。

 ただ既存の製品で突然使えなくなるというものではないため、短期的には影響は小さいと思われるのだが、取引停止が長引けば、欧米や日本の市場からファーウェイ端末が消えてしまう事態も考えられる。

 ファーウェイはこれも独自のOS開発を進めていて今秋には発売の予定とされているが、グーグルの機能になれたユーザーに響くものとなるかは未知数、というよりも苦戦は必至だ。

 つまり中長期的な影響が懸念されると考えて間違いない。ファーウェイの市場拡大にはブレーキがかかることだろう。

 そしてファーウェイにとって最大の衝撃となると考えられているのが、英・ARM(アーム)社の離反である。

 ファーウェイ傘下のハイシリコンが独自の半導体を開発している話はすでにしたが、これは、実のところアーム社の提供するチップデザインを採用したもの。その大本を止められてしまうとダメージは避けられない。

 これもファーウェイが開発に着手しているとの情報もある。

 だが、技術開発力のあるファーウェイを“窮鼠”に変えてしまったアメリカの戦略は本当に正しいのだろうか。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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