zakzak

記事詳細

「老後2000万円」騒動はプロレスだ 生きていくには『本当のこと』は言わない方がいい

 その昔、放送作家の新野新(しんの・しん)さんが「春蝶くん。生きていくには『本当のこと』は言わん方がええのよ」と教えてくれたことがあります。深い言葉です。

 「あなた、ちょっと太った?」という人がいる。事実でも言わなくていいでしょ?(笑)。核心をついてはいけない、キジも鳴かずば撃たれまい…。しかし、その習慣が蔓延(まんえん)しすぎるのもどうでしょうか?

 先日、金融庁の審議会が「人生100年時代」を見据えた資産形成に関する報告書を出しました。この中に「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足総額は単純計算で1300万~2000万円になる」との記述があり、絶賛炎上中です。

 一部メディアが「老後資産2000万円不足」などと報じ、参院選前に政府・与党を放火したい(?)一部野党は「100年安心詐欺だ!」「武器は爆買いしているのに」などと大騒ぎをはじめました。

 彼らが騒ぎ立てるのは、プロレスのギミックですかね。「あんなん、タイガージェットシンと上田馬之助みたいなものだ」と、私は思うようにしています。

 これは、とっても大切な年金の話ですので、必要以上に動揺したり、怒ったり、世の中を不安に陥れたりするのは、どうかと思いますよ。

 そもそも、政府は「年金だけで老後生活は安心」なんて、これまで言ってきたことはありませんよね? 公的年金には、20歳以上全員が入る「国民年金」(基礎年金)と、サラリーマンが加入する「厚生年金」があって、受取額が違うのも有名な話です。

 あくまで、年金は「老後の生活設計の柱」であって、年金以外に預貯金などの蓄えが必要なのは常識ですよ。

 報告書にある、老後30年で夫婦で2000万円ってことは、月に約5万円、1日だと1500円ちょいです。夫婦2人でモーニングに行って、新聞読んで、タバコ代…大体その金額です。年金以外に、「娯楽」や「嗜好(しこう)品」くらいを買えるお金はあった方がいいよね…という話じゃないですか?

 私の後輩で「月に10万足らん」っていうのが口癖の男がいます。月にあと10万円あれば、家族にも後輩にも威厳が示される。終電を気にしなくてもいいんだ!っていつも言ってる(笑)。これ金融庁が言いたいことと似てますよね。

 金融庁も今回、「あ、こういうマジな話はしない方がいいんだ」と、学習したことでしょう。

 でも、何とも血の通わない世間になりつつあるとも思いますよね。一部メディアや野党や世間が騒げば騒ぐほど、本当のことを教えてもらえなくなるのも闇が深い。

 この世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか(笑)。

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。

関連ニュース

アクセスランキング