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情勢は変化したも…庶民の「不確実な」感覚は当時のまま 不確実性の時代(昭和53年)

 高度経済成長もひと息ついた。この先どうなるか分からない。そんな時代にマッチした流行語である。

 もとはアメリカの経済学者、ガルブレイスの著書の題名だった。同著は10カ月で56万部を売るベストセラーとなった。最初は「不確定性」ということばを使用していたが、監訳者の都留重人(経済学者)が「不確実性」を採用したといわれている。かつて、18~19世紀には、社会経済体制の指導原理に確信を与えるような哲学が存在したが、現代ではそのような哲学がなくなってしまったというのが、『不確実性の時代』の基本的な趣旨である。

 この年の主な事件は、「三里塚・芝山成田空港反対同盟と機動隊との攻防。10人が管制塔に乱入占拠」「後楽園球場で、キャンディーズさよならコンサート」「植村直己、世界初の犬ぞり単独行で北極点に到達」「宮城県沖地震(M7・5)、死者28人」「長洲一二神奈川県知事、シンポジウムで『地方の時代』提唱」「日中平和友好条約、北京人民大会堂で調印。トウ小平中国副首相ら批准書交換のため来日」「八重洲ブックセンター開店」「大平正芳内閣成立」など。

 この年の映画は『サード』『キタキツネ物語』。プロ野球球団・西武ライオンズが誕生。巷ではサラ金被害の深刻化が問題視され、一方で、チャリティー番組「24時間テレビ・愛は地球を救う」(日本テレビ系)が、この年に初めて放映された。

 不確実性の時代に突入してから30年以上といったところか。軽薄短小を通り越し、通信、AI、働き方改革と、社会経済情勢は大きく変化したが、庶民の「不確実な」感覚は当時のままだ。

 はたして今後、みんなの判断基準になるような、新たな経済哲学は生まれるのか。改めて関心は高まる。(中丸謙一朗)

 〈昭和53(1978)年の流行歌〉 「青葉城恋唄」(さとう宗幸)「UFO」(ピンク・レディー)「ガンダーラ」(ゴダイゴ)

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