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「逆風」ファーウェイの強み 中国、アフリカで堅固な足場

 G20大阪での米中首脳会談を経てファーウェイ(華為技術)への逆風は若干緩む見通しだが、今週も同社が直面した問題に触れていきたい。

 欧米のハイテク企業のサポートを失い、グーグルマップやユーチューブ、Gメールの使えないスマホが先進国で売れるのか、と問われれば明らかに不利だ。さらに端末の大本である半導体の問題もクリアしなければならないかもしれないのだ。ただ事ではない逆風だ。

 ただ、一つ注意すべきことは、こうした問題のほぼすべてが端末へのダメージだということだ。

 あらためて言うまでもないことだが、アメリカが問題視して、その覇権を阻止したかったのは、ファーウェイの「5G(第5世代移動通信システム)」の通信設備の独占であった。そして現在までに、そこへのダメージは限定的といってよいものだ。

 よしんばファーウェイの端末がいま、すべてこの世界から消えた--後述のように、現実的な話ではないのだが--としても、規模を縮小して通信設備の事業を残すことはできるのだろう。ファーウェイの「5G」通信網支配は、減速することはあってもなくなることはない。そういう話だ。

 そのことを前提としてここからは2つの視点からアプローチしたいのだが、まずは端末の未来から見ていこう。

 これまでの原稿でファーウェイの技術開発力が未来を決定する大きな要素だと書いたが、その可能性はどういうものなのか、という視点だ。

 5Gにおいてトップの技術--つまりどこから盗むことはできない技術だ--を確立した開発力に豊富な資金力を備えた同社が、本気でOS(基本ソフト)の開発に乗り出したら、どうなるのかという話題だ。

 一つ期待されているのは、彼らの開発したOS「鴻蒙」が、スマホにもパソコンにも使えるというイノベーションを起こすことだ。現状のOSがスマホとパソコンで別々のものを使い、しかも相性の問題が指摘されているのだから、ここに興味が集まるのもむりからぬことだ。

 スマホもパソコンも手掛けるファーウェイだからできることとも言われている。

 当初、やはりアンドロイドのOSに比べれば、「鴻蒙」は少し遅れた品質にならざるを得ないのではないかと言われているが、臥薪嘗胆の末に、こうした創造性豊かな商品が出てくる可能性もあるというわけだ。

 同じように、イギリスの半導体設計企業「アーム」のチップデザインを使えなくなった後の「麒麟」も品質の低減が懸念されているが、このことは逆から見ればファーウェイという大口の顧客を失った業界も、以前のようなフットワークを維持することができなくなるという話だ。

 そしてファーウェイの強みは、いま世界で最もスマホが売れている人口14億の国にしっかりした足場を持っているということだ。これに加えてアフリカにおいても圧倒的な存在なのだ。

 なにも欧米だけが市場ではない。むしろ将来性があるのはどちらなのか、ということなのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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