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プーチン大統領に北方領土「四島返還」を納得させる方法

 ロシアのプーチン大統領は先月末、英紙フィナンシャル・タイムズの単独インタビューで、「西欧流の自由主義は時代遅れで廃れた」と語り、米国のトランプ大統領らの保護主義政策を批判した。

 なぜこんなことを言ったのか。自由主義も行きついた先がトランプ大統領の衆愚政治程度ということであれば、別に改めて言う必要はない。だいたい、プーチン氏自身の強権的政治も、ロシアではそろそろすたれつつあるのではないか。何かそれに代わるものがあるのか。それについては何も指摘していない。

 このインタビューで一番びっくりしたのが、盟友中の盟友と思われていたドイツのメルケル氏について、中東などからの難民の受け入れを主導して欧州をグシャグシャにしたとして、「基本的な過ちを犯した」と批判したことだ。KGB時代にドイツ語をネイティブ並みに話す訓練を受け、ロシア語を話すメルケル氏とはお互い肝胆相照らす仲、と言われていたことを考えると超意外である。

 「難民、移民は殺人や略奪、レイプを犯しても、保護される権利があるから捕まらない。そんなことを許していいのか」とまで言った。世界の指導者として本来なら、アフリカや中南米の国を援助するなどして移民難民が生まれないような解決策を語らないといけないんじゃないか。

 さらにプーチン氏は国営テレビのインタビューで、北方領土の施設からロシアの国旗を下ろす考えはあるかと質問され、「そのような計画はない」と断言した。つまり、「北方領土を日本に引き渡す計画はない」ということ。何回も言っていることを改めて強調した。

 国後島と択捉島について、プーチン氏は返すつもりはまったくない。この2島では、逆にロシア軍をどんどん強化し、さらに水産や観光で経済的に自立できるようにしている。

 G20首脳会議出席のため来日したプーチン氏は、安倍晋三首相と大阪で会談したが、今回も焦点の日露平和条約締結については、協議の継続を確認するだけにとどまった。

 1956年の日ソ共同宣言で、歯舞群島と色丹島の日本返還を前提に平和条約締結交渉をするという合意がなされている。プーチン氏は日本に返還された歯舞、色丹に安保条約にもとづいて米軍が駐留するのではないか、と懸念している。「まず2島返還、その後に全島返還」を考える安倍さんにとって、いまが、このプーチン氏の懸念を払しょくさせるチャンスかもしれない。

 というのも、トランプ氏がおそらく日米貿易交渉を有利に運ぶために、「日本が攻撃されたらわれわれは犠牲を払って戦わなければならない。しかし、われわれが攻撃されても日本は助けなくてもいい。日米安全保障条約は不公平だ」と不満を表明したからだ。

 だったら安倍さんも、米国に対して、「分かりました。日本はここまではやります。その代わり、あなたたちもここまでで結構です。北方領土が返ってきたときも、守備範囲にしないで結構です」と交渉すればいい。トランプ、プーチン両氏の間で、うまい交渉ができれば、落としどころを探れるチャンスではないか。

 「2島返還だけでいいのか」と怒る国民もいるだろう。しかし、安倍さんはこれまで国民をいろんなことで怒らせている。そのたびに一瞬、支持率は落ちるが、結局また高い支持率に戻っている。この怒らせ方で平和条約まで持ち込むのが一番実があるんじゃないか。

 ■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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