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「ワクチン不信」が根強い理由 医療事故や薬害が社会問題に

 伝染力が非常に強く致死率も高い感染症として、はるか昔から人々に恐れられていたのが「天然痘」だ。しかし現代ではその恐怖におびえることはないだろう。なぜかというと、「種痘(しゅとう)」というワクチンが開発され、世界中に普及したおかげだ。

 これは今から200年以上前、天然痘とよく似た「牛痘」という病気にかかった牛から膿を取り出して開発されたワクチン。その後、時代とともに改良が重ねられ、ついにWHO(世界保健機関)から天然痘の根絶宣言が出るまでになったんだ。

 江戸時代後期の医師、緒方洪庵先生も天然痘と戦うためにこのワクチンを使用している。でも、「牛の膿を体に入れるなんてできない!」といった声や、「牛になってしまう!」という迷信も出て、効果を信じない人が数多くいた。

 なぜこんな話を始めたかというと、ワクチンに対する不信・反対論は現在も根強くあると感じるからだ。

 代表的なのが子宮けいがんワクチン。子宮けいがんの予防策として国際機関などから推奨されているワクチンなんだけど、接種した後に健康を害したというケースも出ているため、日本ではなかなか普及が進んでいない。

 こうしたワクチン不信が解消されない背景として、医療事故や薬害が大きな社会問題となってきたということがあるだろう。

 例えば昭和の時代に日本で初めて心臓移植手術をした外科医の和田寿郎先生。移植手術を受けた患者が数カ月後に死亡してしまったため、殺人の罪で告発された。嫌疑不十分で不起訴となったものの、世間に大きな不信感を与えてしまった。この騒動もあって、日本での移植医療は長く停滞してしまったといわれている。

 輸血によるエイズウイルス感染も大問題になった。この騒動は、ある宗教団体の信者獲得に貢献した。彼らは宗教上の理由から輸血を拒否していたからね。

 昔から医療は失敗と成功を繰り返してきた。その当時は「効果がある」とされていても、後に評価が覆ってしまうこともある。技術は確実に進歩してきてはいるんだけど、いつの世もすべての人に「安心」と感じてもらうのは難しい。

 洪庵先生にしても、最初は牛ではなく人間の膿でつくった種痘から始めて、周囲の人に接種させた。これが大失敗。予防するどころか状態を悪化させてしまって、彼に大きなトラウマを植え付けたんだ。

 ■高須克弥(たかす・かつや) 美容外科医で医学博士。美容外科「高須クリニック」院長。愛知県出身。日本に「脂肪吸引手術」を普及させた先駆者で、「Yes、高須クリニック」のCMフレーズでもおなじみ。芸能界、財界、政界と幅広い人脈を持つ。著書多数、最新刊は「大炎上」(扶桑社新書)。

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