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野犬問題で思い出す“最良の友”

 ドブラヴィーチェル 親愛なる日本の皆様!

 それは、去年の夏の日の出来事でした。

 母親が12歳になる娘を連れて診察に来ました。その可愛い少女が私に近づいて挨拶をしてくれた時、彼女の右顔に大きな傷がある事に気付きました。

 母親の説明によると、少女が5歳の頃、母親と一緒に家を出て通りへ向かおうとした瞬間、放し飼いになっていた隣人の犬が、突然少女に襲いかかったそうです。

 幸い、何人かの通行人がすぐに少女を助けてくれたのですが、既にその時、少女の体や顔は、後に大きな傷跡が残るほど噛みつかれていました。

 少女の母親は“女性は外見の良さが個性を高める為に重要である”と考えるロシアでの娘の将来をとても心配していました。

 ロシアでは、このような危険な飼い犬の問題以外にも、国中の至る所にいる野犬の問題があります。

 社会主義ソ連の時代は当局がそれらの動物を駆除していましたが、90年代からは現在まで、去勢されないことや動物シェルター不足も相まって、野犬は爆発的に増えていきました。

 昨年、当局はW杯前の開催都市に限って野犬狩りを行い、大量の野犬を殺処分しましたが、いまだ、ロシア全土に200万匹を超える野犬がいると言われています。

 そして、私の街エカテリンブルグでも、今も時々野犬を見かけます。

 時に群れで行動し、餌を求めてヨロヨロと歩いている野犬とたまたま目が合った時に悲しい気持ちになるロシア人は、決して私だけではないでしょう…。

 私はそういう場面に遭遇した時、子供の頃に故郷の町で遊んだ、ある野犬の友達を思い出すことがあります。それはオスの大型犬で、私たちは彼をシャリックと呼んでいました。

 シャリックはとても親切で賢い犬でした。大人も子供も彼が好きでした。シャリックは昼夜を問わず他の野犬や侵入者たちから私たちの住むアパートメントの庭を守り、子供たちと一緒に遊び、私たちが学校に通う時には、校門の前まで一緒についてきてくれました。

 しかし、ある夜、シャリックは未知の侵入者に殺されてしまいました。翌日の放課後、シャリックが遊んでくれたすべての子供たちが集まり、皆で彼を湖の近くに埋葬しました。

 そして、夕暮れの湖畔で私たち子供は“シャリックは人間の魂を持った犬だった”と口々に言い、自分と彼との思い出を語り合いました。

 今でもそのシーンを思い出すたびに私は“犬は人間の最良の友である”と言う格言の意味を、深く感じるのです。

 ■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルクの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザーTAMAKIと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。

Instagram : https://www.instagram.com/crystalmintmusic/

Website : https://crystalmint.info/

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