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米との“ビジネスリスク”認識も… ファーウェイが簡単に排除されないワケ

 先週も触れたように大阪G20の首脳会談を経て米中間には若干の緩みが戻ったようにも感じられる。これによりファーウェイ(華為技術)問題も、少なからず落ち着きを取り戻してゆくとも考えられがちだが、実際、話はそう単純ではない。

 というのもファーウェイを筆頭に中国のハイテク企業の多くが、アメリカとビジネスを続けることへの“政治リスク”を強く認識してしまったからだ。

 これは言い換えれば、「その気になれば平気で企業を一つ潰す」アメリカの怖さを知ってしまったということだ。当然、今後の企業行動は、「いざ」に備えた対応を取らざるを得なくなる。いつでも逃げ出せるリスクヘッジなしに、とてもアメリカとはビジネスができないというわけだ。

 ならばいっそのことアメリカ以外の地域との結びつきを強めてゆこう--。そんな戦略が中国に根付いたとしても不思議ではないのだ。

 極端な場合、予測されるのは世界の二極化である。そうした流れのなかでは、中国の通信事業は、欧米や日本という市場から中国国内+アフリカ、東南アジアなどといった新興国から発展途上国へと向かわざるをえなくなるのだ。

 こう書けば多くの日本の読者は先進国市場から締め出されるファーウェイを筆頭に中国メーカーの存在感の低下をイメージするはずだ。だが、現実はそうではない。

 というのも今後市場として「伸び」が期待できるのは、欧米先進国市場ではなく、むしろ新興国から発展途上国だからである。

 なかでも爆発的な発展の気配を見せ始めているのがアフリカだ。

 かつてファーウェイCEO(最高経営責任者)の任正非氏はメディアのインタビューに答えて、「5G時代にはビット単位当たりのコストが格段に下がる」と語っている。専門家の予測でも、そのコストは10分の1から100分の1になるとされている。

 単純な計算は成り立たないものの、仮にそれが価格に反映されたとすれば、毎月の通信費も同じくらい下がっても不思議ではないのだ。

 つまり月額5000円の通信費は500円からへたをすれば50円になるかもしれないのだ。

 しかも5G時代には人と人の通信は20%で残り80%はモノと人、モノとモノの通信になるということで、爆発的なイノベーションの苗床となると予測されているのだ。

 ゆえにどこの国も一歩でも早く5G通信の環境を整えようと必死だ。

 欧州が5Gの通信設備でファーウェイを排除しなかったのは、設備投資が大幅に削減でき、かつ優れているからである。そのコストもさることながら、ここでモタモタしていたら、次の展開で大きく出遅れることが明らかだからだ。

 加えて、通信費が劇的に下がる環境で、新需要の開拓が最も期待できるのが、やはりアフリカなどの発展途上国なのだ。

 ファーウェイが簡単にアメリカに排除されない理由は、その発展途上国に強い足場を持っているからなのである。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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