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まさに血で血を洗う戦い!? “独立王国化”する中国マフィア…共産党は“容赦なき”取り締まり

 この土地には、共産党の権力など及んでいない--。

 こんな大胆な発言さえ聞こえてくるという。

 昨秋から、中国共産党が一段と力を入れて取り組んできたマフィア撲滅キャンペーンでの一幕である。

 問題はすでに各地で明らかであったが、湖北省での事件をきっかけに事態の深刻さを認識した中央が、徹底的な撲滅を指示したのである。

 キーワードは「掃黒」と「除悪」である。

 黒社会(ギャング)を打倒し、社会から悪を取り除く。だが、実態は字面以上に恐ろしい。

 というのも社会に浸透した組織犯罪が目に余るレベルに達し、独立王国化しているためだ。

 そもそも中国では地方の当地の権力者と地回りのヤクザが結びつきやすいという歴史がある。

 古くから、「游侠」という言葉があったように、中央から派遣されてきた官僚も、こうした地方の勢力と対立しては、うまく土地を経営できなかったというのが実態だったからだ。

 今年建国70周年を迎える中華人民共和国も、建国から5年間は、ひたすら地下に巣くう秘密結社の退治(これはマフィアの進化形とされる)に費やされたとも言われている。まさに血で血を洗う凄まじい戦いだったともいわれている。

 中国のマフィアが日本の暴力団と違うのは、単なる犯罪集団の枠を超えて、地域のルール形成にも役割を担っているからである。

 今回のマフィア退治の過程でもいくつかの例が明らかになっているが、一部の権力者はマフィアと結びつくだけでなく、貧しい者に金を配るなど義賊的な手法で人心掌握にもぬかりはないというから恐ろしい。

 それだから中央から派遣されてきた公安が地元の協力を全く得られないどころか、追い返そうとする事態にまでなっているというから頭が痛い。

 だが有史以来、中国共産党がギャングの跋扈跳梁を許したことはない。取り締まる側のやり口も容赦ない。

 3月28日、湖北省の武穴市公安局は同市梅川鎮の書記・程少徳を筆頭に息子など7人の組織メンバーを逮捕したと公表したのだが、驚いたことに、その情報公開の資料の末尾には、「彼らの罪について知っていることを通報してほしい」との市民への呼びかけが記されていたことだ。

 とりあえず逮捕して、その後で罪を募集したというわけじゃないだろうが、この機会に徹底的に罪を重くして葬ってやろうとの決意が伝わってくる。まさに問答無用な大鉈が振り下ろされているのである。

 中国の権力の恐ろしさがよくわかるが、その一方では「天網恢恢疎にして漏らさず」などといいながらきっちり逃げおおせているやくざがいるのを見ると、中国の広さをあらためて実感させられるのだ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学してジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍たのち、週刊誌記者などを経の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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