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増税否定派が目玉の「MMTシンポ」 参院選の最中に国会で開催

 参院選が終盤を迎えた16日午後、東京・永田町の衆院第一議員会館内の多目的ホールで「MMT国際シンポジウム」(主催・京都大学レジリエンス実践ユニット)が開かれた-。日本経済新聞(17日付朝刊)、産経新聞(同)、東京新聞(同)のみの報道だったことからも分かるように、それほど大きな話題にならなかった。

 だが、このシンポの目玉が、「MMT(現代貨幣理論)」の提唱者である米ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授の講演だったことから、一部関係者の強い関心を集めた。後日、各紙は同氏のインタビュー記事を掲載した。

 さらに言えば、10月からの消費税増税実施を決断した安倍晋三首相が連日、全国遊説している最中に、増税に否定的な見解を主張するケルトン氏を招請したことも、注目されたゆえんである。

 何故ならば、主催責任者が昨年まで安倍政権の内閣官房参与だった藤井聡・京都大学教授であり、シンポ実現に協力したのは自民党内のMMT派とされる、安藤裕衆院議員と西田昌司参院議員であるからだ。

 そして、藤井氏以下、他の講演者の岡本英男・東京経済大学学長、松尾匡・立命館大学教授は、この間、消費増税反対の論陣を張ってきた面々である。

 そもそも、MMTとはどのような学説なのか。主催者配布のパンフレットは次のように記す。

 《「自国通貨建ての国債では破綻しない」という「事実」、ならびに「国債に基づく政府支出拡大は、経済成長を促す」という「事実」の双方を踏まえつつ、「デフレ脱却までは、国債に基づいて政府支出を拡大すべき」と主張するもの》

 要は、日本のように自国通貨を持つ国は債務返済に充てる貨幣を無限に発行できるため、財政赤字が大きくなっても問題ないということだ。

 金融政策よりも財政政策を優先すべきとするケルトン氏は講演後の会見で、「あまりにも中央銀行に依存すること(=アベノミクスの異次元緩和)は支持しない」と述べた。その上で、消費税増税についても改めて「適切な政策ではない」と断じた。

 だとしても、「打ち出の小づち」となるMMTは、財政赤字のツケを中央銀行に回す「財政ファイナンス」を促すため、ポピュリズム的な政策に利用されやすいとの指摘があることは留意すべきである。

 どうやら安倍首相は、神様がインフレは未来永劫(えいごう)発生しないと約束してくれないので、財政再建の道を選んだのではないか。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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