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日本のIRはこうなる(6) 超豪華ホテルをつくる理由…ラグジュアリー向けサービスの拡充がカギに

 あるとは聞いていたけれど、見たことのなかった場所に足を踏み入れた。ラスベガスの老舗IRホテル、シーザーズパレスが誇る「ヴィラ」クラスの宿泊施設だ。

 一般に言う「スイートルーム」を何十倍もゴージャスにしたヴィラは、宿泊施設の規格をはるかに超えている。なかには4千平方フィート(約372m2)を超えるものもあり、超豪華な内装、オーダーメイド家具、厳選されたアートが並ぶ。

 もちろん、仲間うちでのパーティーもOK。ある担当者によれば「ゲストの方には自分の家にいるような感覚で過ごしてもらいたい」とのことだったが、逆によほどの富裕層でなければ、きらびやかすぎて落ち着かないかもしれない。

 カジノで高額な賭けをする上客はハイローラーと呼ばれる。さらに大口の勝負をする人を「ホエール(鯨)」と呼ぶことも。このレベルの人たちは、お金では買えないような経験を求めており、ヴィラという空間での宿泊もその一つなのだ。

 〈表〉の日本版IRに欠かすことのできない要件に、もう一度戻ろう。「(5)ホテル」にはあえて「10万m2以上」と、基準が明記されている。

 客室面積10万m2をイメージするなら、東京ドームホテルのスケール。地上43階、地下3階の施設全体で床面積が約10万5千m2だ。これで客室数は1006室。国内最大級の客室数なら3679室を数える品川プリンスホテルがあげられるが、こちらは4つのタワーホテルを合わせた部屋数になる。

 「これまでにないスケールとクオリティ」が基準になるのが日本版IRにおけるホテル。IR整備法施行令は、大きさだけでなく“質”についても規定している。客室やスイートルームの最小面積に、客室総数に占めるスイートルームの割合まで。

 1カ所のIRホテルに500室とも概算されるスイートルームのターゲットは、「プレミアムマス」と呼ばれる顧客層だ。超VIPとまではいかないが、富裕層や中間層の上位の人たちは、質の高いサービスを求めている。マカオのカジノオペレーターの試算では、中国のプレミアムマスはこの先10年以内に約4億人に達する、としている。

 いくら全体に対するカジノの面積が小さくても、IRの収益においてカジノ(ゲーミング施設)の売り上げが占める割合は大きい。カジノの収益のおかげでそれを取り囲むノンゲーミング施設が支えられているから、われわれはレストランでお得感ある食事ができ、割安な料金でホテルに泊まることができるのだ。

 そして、カジノの売り上げの大部分はハイローラーとプレミアムマスによってもたらされている。1人のホエールが、1度に一般プレーヤー数千人分のお金を落としてくれることもあるのがカジノ。海外の富裕層に、いかにスペシャルなおもてなしを提供して、ひきつけるか。わが国のラグジュアリー向けサービスがどう成長していくかが、世界有数のIRを造り上げる大きなカギになりそうだ。(ギャンブルライター・片山真)

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