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ホルムズ海峡「有志連合」の是非 米主導の枠組み決定前に国会論議を

 ボリス・ジョンソン首相が誕生するや、英国はドナルド・トランプ米政権寄りのイラン政策に大きく舵を切った。

 ベン・ウォレス国防相は5日、中東のホルムズ海峡を航行するタンカーなど民間船舶の安全確保に向けた「有志連合」に参加すると表明した。同国防相の記者会見での説明は「ホルムズ海峡での不正な脅威から英国の船舶を守ることを決めた」というものだった。

 ドイツはすでに不参加を明らかにしているが、注視すべきは「有志連合」(英語表記はCoalition)である。

 このワーディングから連想するのは、2003年3月のイラク戦争である。当時のフセイン政権が大量破壊兵器を秘蔵しているとされたことが、米国中心の軍事介入の口実となったことは記憶に新しい。要は、ネガティブな印象があるワーディングなのだ。

 こうして、英語表記の、Holmes Strait Maritime Initiative(ホルムズ海峡海上イニシアチブ)が外交交渉や海外メディア報道で使われている。

 なぜ、日本のマスコミが「有志連合」を使用するのか分からない。だが、筆者が指摘したいことは、「イニシアチブ」という言葉が示唆するように、米主導でホルムズ海峡航行の安全を確保するチーム結成がトランプ政権の言い分であるということである。

 7月25日、フロリダ州タンパ。アラビア海・中東、中央アジア地域を統合する米中央軍司令部(司令官・マッケンジー海兵隊大将)で開かれた説明会に、日本を含めて30カ国超が参加した。さらに、31日には中東バーレーンの米第5艦隊司令部でも開催された。

 この一点をもって、わが国メディアは米主導の対イラン包囲網に参加、と報じる。

 しかし、説明会に出席したのは、在米日本大使館付き防衛駐在官と同大使館政治部の事務官の2人だけだ。バーレーンでの説明会は在英日本大使館付き防衛駐在官1人。

 マンションの内覧会と同じとまで言わないが、まさにホルムズ海峡海上イニシアチブとは何か、の説明会なのだ。各国がそれぞれ自前の海上警備行動などができる重火器搭載艦船を派遣するという類の軍事ブリーフィングではなかった。

 仮にだが、在米日本大使館の市川恵一政務公使(政治部長)や、本省総合外交政策局海上安全保障室長が出席したのであれば、話は少し違ってくる。

 名称(表記)はともかく、米主導の枠組み結成までには少し時間がかかる。その是非についての国会論議が望まれる。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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