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手軽さゆえに恐ろしい結末が…

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆様!

 今回は、前回のマイクロクレジットのお話の続編になります。

 “母はあいつらに殺されたんだ!”

 私たちは、とっさに叫んだ娘の言葉の意味がわからず、取り乱す彼女を落ち着かせ、事情を聴くことにしました。

 しばらく椅子にうずくまるように座り嗚咽していた娘は、小さい声で少しずつ事情を話し始めました。

 自殺を図った40代の女性である母親は、60代の祖母と17歳の娘の3人家族で郊外のアパートで暮らしていました。

 母親は当時、一家の大黒柱として小さな会社で働いていたのですが、クリミア併合後に起こった欧米の経済制裁とルーブルの急激な下落は、真っ先に彼女が働くような小企業の財政を圧迫し、給料の遅配が日常化していきました。

 そして、何度目かの給料の遅配が数カ月に及んだ時、ついに母親はマイクロクレジットに助けを求めました。

 小口融資ということで20000ルーブルほど借りた母親は、はじめ、そのことを家族には黙っていました。

 しかし、給料の遅配は続く上、40代の女性が代わりの仕事を見つけることは容易ではなく、その間にも借金は膨れ上がっていきました。

 数カ月は何とか金利分だけの支払いをしてきた母親の支払いが徐々に滞るようになったころ、コレクターと呼ばれる回収業者から彼女に連絡がありました。

 コレクターの男性は初めは礼儀正しく見えましたが、すぐに本性を現して、翌日から家族全員に催促の電話をかけ始めました。

 その数日後、娘のアルバイト先に押しかけてきたコレクターは、“金を返すにはお前が体を売るしかない”とけしかけ、年金暮らしの祖母を家の前で待ち伏せ、“あんたの年金で返してもらうぞ”と家族にも圧力をかけてきました。

 ある夜、ついに家族が住むアパートに拳銃が撃ち込まれた時、母親の生きる気力は全て失われました。

 その翌日、母親は家族が寝静まった夜に大量の睡眠薬を摂取して自死したのです…。

 このような恐ろしく、時には悲劇的な物語が、近年ロシアの各地で報告され、大きな社会問題になりました。

 そのため、政府は時折、小規模金融機関にいくつかの制限を設け、さらに利率を下げようとしていますが、マイクロクレジットの機関は、貸し倒れのリスクなどを理由に反対しています。

 実際に給料日前の少しの期間だけ借りる、という利便性もあるマイクロクレジットですが、手軽さゆえに、債務の罠にはまると恐ろしい結末が待っているのです。

 ■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルクの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザーTAMAKIと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。

Instagram : https://www.instagram.com/crystalmintmusic/

Website : https://crystalmint.info/

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