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物価が示唆する増税の「悪影響」 「10兆円補正」と金融再緩和で“デフレ完全脱却”が視野に入る

 10月の全国消費者物価指数(総合)は、前年同月比0・2%上昇の102・2(2015年を100)で、消費増税などの影響を除くと上昇率は0・0%と公表された。

 そもそも消費増税は消費者物価にどのように反映するのだろうか。消費税は、価格に転嫁することで最終的に消費者が負担する税金だ。価格転嫁できない場合もあるが、今回のように消費増税という機会であれば、一斉に価格転嫁がやりやすい。

 今回の消費増税では、軽減税率品目である食品や新聞を除き消費増税分2%は原則として価格上昇する。ただし、軽減税率品目の価格は据え置きである。

 ここで、消費者物価指数は、世の中のいろいろな品目(消費税非課税品目、消費税課税品目、消費税軽減税率品目)について加重平均で算出していることに留意したい。総務省の試算により今回の消費増税の結果を機械的に算出すると、10月の消費者物価総合への寄与度は0・77%である。

 他方、今回の消費増税では、幼児教育・保育無償化も実施されている。総務省の試算では、10月の消費者物価総合への寄与度はマイナス0・57%とされている。

 このため、今回の消費増税の消費者物価への影響は、本来の影響0・77%から、無償化の影響も考慮して0・57%を引いた0・20%としているのだ。

 実際、今月の消費者物価指数統計では、無償化の効果が出た教育は前年同月比マイナス7・8%、諸雑費でもマイナス2・9%となっている。

 なお、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)では、前年同月比0・4%上昇だが、消費増税などの影響を除くと上昇率は0・2%。消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)では、前年同月比0・7%上昇だが、消費増税などの影響を除くと上昇率は0・4%。いずれにしても、物価の動きは弱く、消費増税による景気後退を示唆するものだ。

 今回の消費増税による景気後退により、インフレ率は年間でゼロ%台半ばのマイナス効果があると筆者は試算している。さらに今のイールドカーブコントロール(長短金利操作)による金融政策もインフレ率を押し上げるには力弱く、若干マイナスに作用すると思われる。

 これだけをみれば、デフレ脱却は夢のまた夢である。しかし、今のマイナス金利環境を生かして、補正予算で真水10兆円という大型規模が与党内で検討されている。実際の補正予算は、今の臨時国会か来年の通常国会で召集日を前倒しして、1月上中旬から審議開始し、成立となるだろう。

 もし10兆円補正であれば、景気回復によりインフレ率に対する影響はプラス1%台半ばの上昇効果になるだろう。そうであれば、補正予算通過後から景気回復とともにインフレ率は上がり出す。

 財政出動とともに引き締め気味の金融政策を見直すと、現在ほぼゼロのインフレ率だが、2年で2%程度は視野に入ってくる。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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