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なぜ減らない「あおり運転」 精神科医が解説「怒りをコントロールできず、車に乗ると性格が変わる」 (1/2ページ)

 ここ数年、あおり運転事件が多発している。最近は、ドライブレコーダーやSNSなどの画像がメディアで報道されるようになったため、多少は減っているが、それでもなくならない。昨年起きた堺市でバイクに乗っていた大学生が死亡した事件では、初めて殺人罪が適用されたが、それでも減らない。なぜなのか? 犯罪心理にも詳しい精神科医の吉竹弘行氏(64)が解き明かす。

 ■反社会的人格障害者

 精神科医から見ると、その要因の一つは、この社会には一定数、自分をコントロールできない精神を病んだ人間がいること。もう一つ現代社会がストレスフルであり、クルマに乗ると人格が変わる人間がいるからである。

 神奈川県大井町の東名高速道路で2017年6月、静岡市清水区の一家が乗ったワゴン車があおり運転で無理やり停止させられ、夫妻が死亡した事故は、本当に痛ましい事件だった。

 法廷で娘さんが「(トラックが突っ込んできて)パパとママが死んでしまった」と涙を流すなか、石橋和歩被告(26)=1審・懲役18年、2審・地裁に差し戻し=は嘘を突き通した。同乗の女性は「和歩はすぐキレる」と証言したが、彼のような人間は「反社会的人格障害者」としか言いようがなく、遭遇した場合は一にも二にもすぐに警察に連絡し、絶対にクルマから降りないことだ。口をきくなど論外。相手をしてはいけない。

 あおり運転する人間は、日常生活においても他人に攻撃的である。ただし、相手が自分より弱いと見たら攻撃するが、強いと見たら子犬のようにおとなしくなる。従って自分で対処せず、即座に警官を呼ぶのが一番良い。

 怒りの感情は、脳のなかの側頭葉の内側にある「扁桃体」が司っている。扁桃体ではアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌され、それが恐怖反応を引き起こし、人に怒りをもたらす。しかし、脳には怒りをコントロールする機能も備わっている。それは、前頭葉にある「前頭前野」で、この部分は、脳のなかで成熟がもっとも遅く、20歳を過ぎても成長することがわかっている。

 最近は、怒りをコントロールできない若者が増えているが、それは、前頭前野が十分に成熟していないからではなかろうか。

 最近のあおり運転でもっとも頻繁にテレビで映像が流されたのが、今夏、常磐道で起こった事件。この事件を起こした宮崎文夫被告(43)は高速道路上で車を停車させ、激高して相手を5回も殴り、その様子を同乗の女がガラケーで撮影していた。

 宮崎被告も「反社会的人格障害」と考えられる。過去に大阪市内のタクシーの運転手を「降りたら自分は殺される」と監禁して12時間走らせたことや、近所の人間に「(自分は)危ない人間に追われている」などと言っていたことから、「妄想性人格障害」から「統合失調症」まで考えられる。

 ■普段はおとなしいが

 宮崎被告は大阪市生野区生まれで、母方の祖父は税理士で、母はその一人娘。教員だった父は婿養子という裕福な家に育った。名門・府立天王寺高校を経て、大学卒業後はキーエンスなどの優良企業で働いてきた。

 しかし、どこも勤まらず、仕事をせずに祖父の遺産のマンションの家賃収入で暮らしていた。

 彼が豹変したのは、数年前、自分を溺愛してくれた母親が亡くなってからのようだ。以来、彼は妄想を口走り、金髪にサングラスでクルマを乗り回してきた。そんな人間が運転するクルマを絶対追い抜いてはいけない。

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