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伝説の山の不思議な力

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆さま!

 今年の初め、帰郷中だった私は同じく医師で休暇中だった幼なじみのエレナを乗せて、実家から50キロほど西にある村に車を走らせていました。

 その村にはエレナの生家があり、今は彼女の祖母アリーヤが1人で暮らしています。

 生家に着くと、そこはウラル地方の典型的な村の木造家屋で、窓からはイレメリと呼ばれる大きな山の白い山頂が見えました。

 イレメリは、ロシア連邦バシコルトスタン共和国内の広大な高原の中にそびえたつ標高1589メートルの山で、「聖なる山」と訳され、多くの伝説に覆われています。

 そこには、はるか昔、チュードと呼ばれた白い眼を持つ神秘的な部族が暮らしていたといわれており、何世紀にも渡って、地元住民でさえも山へ行くことを禁じられ、シャーマンと呼ばれた祈祷(きとう)師だけが山に登ることができたそうです。

 さらに2016年の冬の夜、このイレメリの山道を車で通りかかった若者たちが、雪道を横断する巨大な人間のような姿をドライブレコーダーで撮影したことは当時大きなニュースとなり、それは伝説の雪男イエティではないか、と噂されていたので、まず私はアリーヤに、イエティは本当にそこにいるのかと尋ねてみました。

 アリーヤは不思議な笑みを浮かべながら答えました。

 「イエティはわからないが、確かに何かがこの山を守っている」

 そして、アリーヤは私にひとつの話を聞かせてくれました。それは昔、村にいたどうしようもない荒くれ者の話です。毎日浴びるように酒を飲み、妻や子供たちを顧みなかったその男を、ある日シャーマンが無理やりイレメリ山に連れて行きました。

 1週間後、男は山から戻ってきましたが、男の容姿は家族でさえ一目で認識できないほど変わっていました。その後、男は飲酒を止め、家族のために一生懸命働きました。その変わりように驚いた村の人々が、山で何があったのかと男に尋ねると、男はただ「家族を助けるために魂を癒やした」と答えたそうです。

 最後にアリーヤは、こう言って話を締めくくりました。

 「男は聖なるイレメリの力に出会い魂を癒やされ、それについて話すことを禁じられたのだ」

 時代は変わり、今日のイレメリはロシア人のみならず、海外の観光客にも人気のパワースポットです。そして、神聖な山イレメリに登った誰もが、そこで未知のパワーを感じることができると言います。

 興味のある方はイレメリへ行き、そのパワーを自分で感じてみてください!

 ■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルクの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザーTAMAKIと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。(crystalmint.info)

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