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【解剖 政界キーマン】加藤勝信厚労相 新型コロナで“弱点”露呈…有事に「官僚的発想」脱却できるか

 「有事に対して問われるのは政治的判断であり、官僚的な治め方ではない」(自民党閣僚経験のベテラン)

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になり始めた2月から3月にかけて、加藤勝信厚労相は政府の対応などで常に前面に出ていた。旧大蔵官僚で、第二次安倍晋三内閣では官房副長官や1億総活躍担当相、二度の厚労相など重要閣僚を、さらに党総務会長も歴任している。とにかく安倍首相の信頼は厚い。

 「彼は優秀な官僚出身らしく仕事を黙々とまとめる。法律や前例などを組み合わせ、霞が関の各省庁の癖も知っている。答弁も如才ない。安倍首相が安心していられる。菅義偉官房長官もそうした部分を評価し、鹿児島県馬毛島への米軍基地移転計画など極秘重要案件を任せていたほどだ」(首相の出身派閥、清和会幹部)

 ところが、今回そのスタイルは通用しなかった。

 新型コロナウイルスの初期対応では、厚労省主導の徹底した水際対策や検査ができているのかが問われた。例えば、2月末にチャーター機で中国から帰国した日本人には、潜伏期間の2週間の隔離が必要だった。だが、検疫法などの縛りで、要請止まりにしてしまった。横浜港に接岸した英国船籍のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応も遅くチグハグ。世界から批判が集中した。

 「官僚は法律や平等を侵してやれないし、むしろ、その制約の中で工夫することが優秀かどうかの判断だ。だが、有事の際は政治任用された大臣が、『法律や平等を無視してでも、今やるべきことをやる。責任も取る』という政治的な動きが求められる。官僚的発想での対応は、有事にはまったく当てはまらない」(冒頭のベテラン)

 加藤氏は、厚労省内の担当部局や医系技官らの現状報告などをもとに、「あくまで、従来の法律の範囲内で官僚的対応をしてきた」(同ベテラン)という。

 2009年の新型インフルエンザの際、当時の舛添要一厚労相は省内から名前が挙がってくる専門家ではなく、独自に現場の専門家を抜擢(ばってき)して会議を開くなどした。そうした体験から舛添氏は「加藤氏は安倍首相に異を唱えるくらいの姿勢でやるべきだ」と政治的判断の重要性を強調する。

 安倍首相は今年正月の番組で、「ポスト安倍」について岸田文雄政調会長らとともに、加藤氏の名前も挙げたが、新型コロナウイルスは弱点を露呈させた。加藤氏に近い竹下派幹部はいう。

 「加藤氏は、初期対応について逃げずに頭を下げる。そして、緊急事態宣言の切れ目になる5月6日などのタイミングで、『フェーズが変わった』として、安倍首相に専門家会議や医療体制の抜本的改革を迫るぐらいの姿勢を示すべきだ」

(ジャーナリスト・鈴木哲夫)

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