【プーチンの国より愛を込めて】コロナ不況で苦しむ一家に「やりきれない」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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コロナ不況で苦しむ一家に「やりきれない」

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆さま!

 8月から故郷の町に戻っている私は、コロナ渦の影響を感じさせる話を母から聞きました。

 それは、私たち家族が顔なじみの市場の八百屋のご主人の問題でした。ご主人はサラクという名の40代ぐらいの礼儀正しいアゼルバイジャン人で、同郷の妻と一緒に店を切り盛りしていました。

 ソ連時代はそれなりに裕福であった中央アジアやカフカス(英語名コーカサス)諸国などの旧連邦国ですが、ソ連崩壊後は旧連邦国内にあった国営企業が閉鎖されたために、多くの人々が新しく生まれ変わった独立国で職を失うという事態に見舞われました。

 その国のひとつがアゼルバイジャンであり、彼ら市民の中には職を求めてロシアに移住してきた人もかなりいて、サラクはそのような境遇のアゼルバイジャン人のひとりでした。

 そして、妻子を養いながらしっかりとロシアに根を張ったサラクは、近所のスーパーマーケットチェーンよりも新鮮だと評判の商品と消費者目線の価格を売りに商売を続けてきました。

 しかし、1カ月ほど前にサラクの店と別のアゼルバイジャン人経営の八百屋が対立を起こし、市場中が騒々しいけんかの目撃者になりました。このコロナ不況下で市場に2つの八百屋はいらないとばかりに別のアゼルバイジャン人経営の八百屋がサラクの店で売っているのと同じ商品の価格を大幅に下げ、彼の店を潰しにかかってきたのです。

 そのような話を母から聞いていた私が先日市場に買い物に行くと、サラクの店には彼の妻しかおらず、8歳の長男が店の仕事を手伝っていました。

 私が近づいてサラクの妻に挨拶すると、彼女はせきを切ったように私に語り始めました。彼女の説明によると、サラクは店の将来を考えるたびに夜も眠れず、大きなストレスを抱えたまま、ついに先週脳卒中で倒れて入院してしまった、ということでした。

 もう一人の小さな子供を抱きかかえながら話すサラクの妻の横では、長男が店の後片付けをし始め、重い商品を次々と奥にしまっていきます。どうやら、今では8歳の長男が家族の唯一の男手のようです。

 さらに、父親のサラクが病気から回復しても、以前のように働くことができなくなる可能性もあり得ます。長男は9月に始まる新学期から学校へ通えるのだろうか?

 そんなやりきれない気持ちを抱えながら、私はサラクの店で買ったメロンを持って家路に着きました。

 コロナウイルスは人々から希望や子供たちの未来さえも奪っていくのでしょうか…。

■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルクの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザー・トモキヒラタと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。(crystalmint.info)

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