復興相として念願の初入閣 国家、国民のため全力投球で仕事に励む 平沢勝栄 俺がやらねば
安倍晋三前首相が8月28日、健康上の理由で突然の辞意を表明した。青天の霹靂(へきれき)だった。
第2次安倍内閣は7年8カ月間続いた。この間、実に多くの実績を上げた。最大の功績は、日本に長期安定政権を誕生させ、国際社会における日本への信頼感や存在感を高めたことだ。
平成の時代に入って以後だけでも、20人近くの首相が猫の目のように代わった。
英国のマーガレット・サッチャー元首相は回顧録の中で「日本は首相が頻繁に代わるので、会うたびに同じ説明をしなければならなかった」と皮肉っていたが、日本は変わった。今や「ルールメーカー」としての役割を国際社会に期待されるまでになった。
安倍前首相は病をおして国家、国民のため獅子奮迅の活躍をした。国民の多くは感謝の気持ちでいっぱいだろう。それは、辞意表明後の各種世論調査で一気に内閣支持率が跳ね上がったことからも明らかだ。
後継の首相は、官房長官だった菅義偉氏に決まった。胆力と度胸があり、土の香りもする「たたき上げの首相」だ。
ふるさと納税を立ち上げ、外国人観光客(インバウンド)の拡大などでは霞が関の官僚の反対を押し切り、成功させた。
国民の期待も大きい。菅新首相は安倍前内閣の取り組みを継承しながらも、従来の諸政策で修正すべきところは修正して、さらに国政を着実に前進させる覚悟だ。
私は菅内閣で、復興相になった。地元の支援者には「私が入閣しないと死ねない」と頑張ってくれた人も数多くいる。それだけに、念願の閣僚決定の電話を受けたときはホッとした。
私は岐阜県白川村生まれだが、福島県で育ち、県立福島高校を卒業した。福島の方々も初入閣を祝ってくれた。そうした皆さんを思うと、大臣としての責任の重さをひしひしと感じる。
福島は東日本大震災(2011年3月11日)の被災地だ。来年は、あの日から丸十年という大きな節目を迎える。
政府はこれまで被災者支援に力を尽くしてきたが、この先の10年では、最新の科学技術を誇り、スポーツも盛んな「日本で最先端の街づくり」へと復興のステージを移していければと考える。
1992年末に英国のエリザベス女王はラテン語の言い回しを使い、「今年はアナス・ホリビリス(=ひどい年)だった」と言い、話題を呼んだのをご存じだろうか。同年に居城のウィンザー城で火災があり、王族の離婚や別居などが相次いだからだ。
翻って今年の日本はどうか。新型コロナウイルス感染問題や自然災害が多発し、これまでを見ると残念な1年ともいえるが、今年はまだ終わってはいない。
菅新内閣も誕生した。
今年の最後には「アナス・ミラビリス(=素晴らしい年)だった」と国民の皆さんと一緒に言える年になるよう、引き続き、国家、国民のため全力投球で仕事に励む。(復興相)