【最新国防ファイル】水平線の向こう探知しリスク回避 「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【最新国防ファイル】水平線の向こう探知しリスク回避 「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」

 航空自衛隊では1983年より、早期警戒機として「E-2C」の配備を開始した。外観上の特徴は、機体上部に乗っている巨大なレーダーだ。このレーダーで、上空から敵航空機の捜索や監視を行うことを任務としている。その姿が獲物を狙うタカのように見えることから「ホークアイ」という愛称を与えられた。

 製造したのは米ノースロップ・グラマン社だ。米海軍の空母艦載用として開発された。艦艇のレーダーを補完し、対空捜索能力を向上させることが目的だった。地球は球体のため、艦艇や地上設置型のレーダーでは、捜索距離が長くなればなるほど、水平線上に死角が生まれる。敵が水平線スレスレを低空飛行してくると、探知できない隙間ができる。

 日本は痛い目を見た。76年9月6日に発生したソ連防空軍所属のベレンコ中尉による函館亡命事件だ。Mig-25が日本領空に接近したことを受け、空自はスクランブル発進したが、低空飛行する機体を発見することができなかった。

 結果、函館空港への着陸を許してしまう。ベレンコ中尉の目的が亡命であったのが幸いだった。万が一、攻撃の意思があったとしたら、北海道は無傷ではなかった。

 航空目標捜索のためのルックダウン能力を高めるために、空自は慌ててE-2Cの導入を決めた。三沢基地(青森県)に第601飛行隊を新編し、配備していった。

 2000年代に入ると、中国が日本の脅威となったため、14年4月20日、那覇基地(沖縄県)に第603飛行隊を新編した。2個飛行隊体制へと増強するため、最新モデルである「E-2Dアドバンスド・ホークアイ」を新たに購入した。19年5月31日、最初の1機が納入された。最終的にトータル13機を配備する計画だ。

 レーダーが最新式となっただけでなく、今後自衛隊の戦い方を大きく変えるであろう「CEC(共同交戦能力)」を構築できるようにした。

 海上自衛隊は、各護衛艦をネットワークでつないで情報を共有して戦うCECを導入しようとしている。そこでE-2Dを護衛艦のリモートセンサーとして使おうとしているのだ。

 具体的には、護衛艦では探知が難しい水平線の向こうにある敵のミサイルや戦闘機をE-2Dに発見させる。探知した敵情報はすぐさまイージス艦へ伝えられる。これで、イージス艦のレーダーが敵を捉えていなくとも、対空ミサイルを発射できるのだ。遠方で迎撃できれば、味方の艦艇や陸上目標が攻撃されるリスクを回避できる。

 最新の「まや」型イージス艦からCECを搭載する予定だ。今後は「あたご」型イージス艦もCEC対応型へと改修する計画だ。

 E-2Dは、対領空侵犯処置だけでなく、領海警備や島嶼(とうしょ)防衛にもサポート可能な、これまでになかった早期警戒機となる。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。講談社フライデー編集部を経てフリーに。陸海空自衛隊だけでなく、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材する。著書に『自衛隊の戦力-各国との比較』(メディアックス)、『陸自男子-リクメン』(コスミック出版)など。

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