【ニュースの核心】日本学術会議の任命拒否で「学問の自由」が脅かされるわけがない 税金支出する組織に民主的統治働かせるのは当然 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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日本学術会議の任命拒否で「学問の自由」が脅かされるわけがない 税金支出する組織に民主的統治働かせるのは当然

 日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を、菅義偉首相が拒否した。左派勢力は一斉に「学問の自由に対する侵害だ」などと反発している。本当にそうか。

 日本学術会議は「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させる」(日本学術会議法)ことを目的に1949年に設立された。科学に関する重要事項を独立して審議し、政府に勧告してきた。

 これだけ読むと、もっともらしいが、会議には別の側面がある。一貫して力を入れてきたのは「戦争反対キャンペーン」だ。1950年と67年には「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を出し、2017年にも2つの声明を継承する声明を出している。

 任命を拒否された学者は、13年の特定秘密保護法案や、15年の安全保障関連法案、共謀罪の趣旨を盛り込んだ17年の組織的犯罪処罰法改正案に反対するなどしていた。そこから、左派は「政府に批判的な学者を除外したのではないか」と主張している。

 だが、日本学術会議の会員に選ばれないと、なぜ「学問の自由」が脅かされるのか。そんな主張こそ乱暴だ。

 別に会員でなくても、学者は自由に研究すればいい。「政府の意向を忖度(そんたく)するようになって萎縮する」という指摘もあるが、それでは「多くの学者は名誉欲しさで研究する」と言ったも同然だ。語るに落ちた話ではないか。

 また、「首相に任命を拒否する権限はない」という批判もある。だが、税金で運営されている政府機関なのに、自分たちが推薦した会員が自動的に任命され、会長も会員の互選で選ぶとなったら、政府は会議を監督できなくなる。

 およそ、税金を支出する組織に、政府が民主的統治(ガバナンス)を働かせるのは当然だ。学術会議といえども例外ではない。このケースでは、首相の任命権が統治の鍵になっている。批判する人々は、民主社会における統治の大原則を無視している。

 会議が新会員を推薦する仕組みにも問題がある。会員と会長が任命する連携会員の候補者を推薦できるのは、現在の会員と連携会員だけだ。それでは、同じ研究や主義主張に賛成する会員ばかりが再生産されかねない。

 菅首相が任命を拒否した理由は不明だが、そうした事態に陥るのを懸念した菅首相が「多様性を確保するために下した決断」という側面があったかもしれない。

 任命を拒否された学者の1人はテレビ番組に出演して「任命に手を出すと、政権が倒れる」などと語っていた。自分が選ばれるのは当然で、拒否した政権は潰れる、などと言うのは、うぬぼれを通り越して傲慢だ。勘違いもはなはだしい。これだけでも、学者の病の深さがうかがえる。

 今回の事態は菅政権が前例にとらわれずに、改革を断行する姿勢を明確にした。霞が関はもちろん、料金値下げ問題を抱える携帯電話会社などは政権の覚悟を思い知っただろう。それも、首相の計算の内だったのではないか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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