【突破する日本】学術会議の任命見送りは改革の一環 「特別」で聖域化し…「特定の政治勢力」が影響力を持つアンタッチャブルな組織 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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学術会議の任命見送りは改革の一環 「特別」で聖域化し…「特定の政治勢力」が影響力を持つアンタッチャブルな組織

 日本学術会議の新会員候補6人の任命を菅義偉首相が見送ったことを、野党や一部メディアが問題視している。政府が見送りの理由を明らかにせず、メディアも意識的に報じないこともあって問題の所在が分かりにくい。

 日本学術会議は、理系・文系を問わず全分野の科学者を代表し、科学政策の提言などを担う機関として設立された。日本学術会議法に基づき首相が所管し、国費で運営されるが、政府からは独立した「特別の機関」と位置づけられている。

 実は、政府は学術会議には手を焼いてきた。独立の「特別の機関」とされることをいいことに聖域化し、政府の統制が効かず、逆に特定の政治勢力が影響力を持つ組織と化しているからだ。

 旧教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく」(10条)と規定したが、「不当な支配」の主体として文部科学省や教育委員会が想定され、教育界への統制が排除された。その結果、外部の特定の政治勢力が影響力を持ち、教育界は彼らの「支配」を受けた。教育基本法が改正された理由だ。

 学術会議にも同様の問題がある。人事にさえ政府が関与できないことでアンタッチャブルな組織となり、外部の特定の政治勢力が大きな影響力を持つ組織となっていた。

 例えば、今回任命を見送られた中には、ある学術団体の幹部とされる人物が複数人いる。日本の公安当局が調査対象にしている左派政党との関係も指摘される。名前は挙がっていないが、同様のイデオロギーの持ち主が過去も現在も学術会議の会員や連携会員には多数存在する。

 学術会議は「軍事的研究を行わない」との声明を出し、防衛省の安全保障技術研究推進制度への応募を妨害しつつも、中国科学技術協会と協力覚書を締結し、人的交流を行っている。中国の習近平国家主席は2025年までに通信やAIで世界をリードし、覇権を手にする国家戦略「中国製造2025」をぶち上げている。安全保障上の脅威だ。

 哲学委員会の分科会は今年6月、小中学校の道徳教科書を「国家主義への傾斜」があるとし、「国家や民族の枠を超えて貢献をなす人間を育てるためにも、道徳教育が、国家主義的な、すなわち、個人の人権が『国家の利益』とされるものの前に蔑ろにされるようなものになってはならない」とする報告を発表した。自国への愛国心を否定し、他国への奉仕を奨励しているように読める。

 政府は、学術会議の体質を変えるべく周到に改革を構想してきた。今回の任命見送りは、その一環と捉えるべきだ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

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