【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】菅政権のマクロ経済政策が見えない! 携帯料金値下げ、デジタル庁設置…目立つのはミクロ政策ばかり - zakzak:夕刊フジ公式サイト

記事詳細

菅政権のマクロ経済政策が見えない! 携帯料金値下げ、デジタル庁設置…目立つのはミクロ政策ばかり

 先日、菅義偉首相の選挙区、横浜市南区を歩いてきました。私が駆け出しのころ、お昼のラジオ番組の中継コーナーでよく訪れていた商店街では、首相就任を祝う大きな横断幕が掲げられていました。第99代内閣総理大臣ということで、990円セールをやったり、99ポイントが獲得できるキャンペーンをしたり、それぞれ工夫を凝らして販促していました。

 一方で、新型コロナウイルスの影響なのか、閉店した店舗もあり、足元の消費の落ち込みを見せつけられました。

 菅政権への期待の1つが経済政策であることは明白でしょう。首相自身も就任会見で、「コロナと経済の両立」を課題として真っ先に挙げていました。そして、携帯電話料金の値下げ、デジタル庁設置といった個別具体的な経済政策、すなわちミクロ政策が打ち出されましたが、全体を束ねる方針のようなもの、マクロ経済政策は見えません。

 ミクロ政策は身近で分かりやすく、どんな仕事をしているのかも理解されやすい。一方で、マクロ政策は説明を尽くさないと理解されないうえ、その成果がすぐには実感できないという特徴があります。

 安倍晋三前政権の掲げたアベノミクスの1本目の矢(金融政策)と、2本目の矢(財政政策)が典型的なマクロ政策です。当初は、金融緩和は禁じ手で「財政が破綻する」とか、「財政出動は税金の無駄遣いだ」とか、「物価は上がらず成果なし」とか評価は散々でした。

 しかし、しばらくすると失業率が改善し、新卒の就職が目に見えて楽になりました。消費税増税でその後は低空飛行を続けましたが、それでも決定的に悪くなることなく踏みとどまったのは、マクロ政策のコントロールが曲がりなりにも効いたからでしょう。

 そして、これが最も問題なのですが、ミクロ政策でいくら改善がみられても、経済全体のマクロ政策で失敗していると、一部を除いて大勢が経済的苦境に苦しむのです。

 デフレ下で改革に邁進(まいしん)した小泉純一郎政権が顕著です。構造改革ともてはやされる裏で新卒の就職は冷え込み、完全失業率は4~5%で推移しました。当時は完全雇用だと言われましたが、近年の失業率2%台を見ると、それは誤りであったことが分かります。

 先月25日に任命された内閣官房参与の顔ぶれを見ても、前政権から再任されたのは特命担当の飯島勲氏のみ。メディアの注目は前政権の首相補佐官兼秘書官を務めた今井尚哉氏に集まりましたが、今井氏もエネルギー政策担当。マクロ経済政策を担当していた米エール大学名誉教授の浜田宏一氏は再任されませんでした。

 今後マクロ政策を統括する仕組みがつくられたり、新たにマクロ政策担当の参与が任命されたりするかもしれませんから、そこに期待しましょう。今は、「マクロ政策を失敗すると、ミクロの成果を簡単に吹き飛ばす」ということを指摘しておきます。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

関連ニュース

アクセスランキング

×