【日本の解き方】「未来投資会議」の廃止 菅政権で経産省の影響力低下…トップダウン方式に変わるか - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「未来投資会議」の廃止 菅政権で経産省の影響力低下…トップダウン方式に変わるか

 西村康稔経済再生担当相は9日の閣議後記者会見で、「未来投資会議」を廃止すると明らかにした。今後の成長戦略については、経済財政諮問会議で重点課題を議論した上で、新設する「成長戦略会議」で具体的な中身を検討するという。

 未来投資会議は2016年9月、安倍晋三前首相を本部長とする「日本経済再生本部」の下に設置されたが、その前身は「産業競争力会議」だ。産業競争力会議は、第2次安倍政権スタート直後の13年1月から設置されていた。

 産業競争力会議も未来投資会議も、閣僚のほか民間議員により構成され、消費増税対策や社会保障改革、新型コロナ後の社会像など、経済政策や成長戦略の幅広い分野の議題に取り組んできた。会議運営は、経済産業省の意向が色濃く反映されてきたといわれている。

 安倍政権における政策決定プロセスを振り返っておこう。安倍政権では、民主党政権で実質的に活動が停止された経済財政諮問会議を復活させるとともに、日本再生本部が閣議決定により設置された。その日本再生本部の下に産業競争力会議(のちの未来投資会議)が設置された。従来、経済財政諮問会議は内閣府が主導していたが、実際には財務省の影響力が大きかった。そこで、経産省主導の産業競争力会議が新たに作られたわけだ。安倍政権では、政務秘書官が経産官僚出身の今井尚哉氏であるとともに、こうした政策決定により経産省の影響力が強いといわれた。

 今回、未来投資会議を廃止し、「成長戦略会議」に衣替えするが、成長戦略会議の議長は官房長官だ。未来投資会議の議長は首相であったので、「格下げ」になる。これは、経済財政諮問会議と未来投資会議という2つの司令塔を経済財政諮問会議に一本化することを意味する。これまでの経緯からみれば、安倍政権における経産省の影響力が菅義偉政権では小さくなることを意味する。

 といっても、経済財政諮問会議に一本化する菅政権では、財務省のウエートが増すとは必ずしも言えない。菅首相は、官房長官時代にほぼ全ての霞が関官僚を掌中においているので、財務省といっても菅首相をコントロールするのは難しい。

 さらに、菅首相は政治の師として梶山静六元官房長官を挙げている。梶山氏は、1998年の消費増税において「大蔵省(当時)にだまされた」と語ったのは有名なエピソードだ。菅首相も、そのときの教訓で官僚の説明だけではなく、学者やマスコミ、経済人の話も聞いて自分で判断することをモットーとしているようだ。

 こうした菅首相のスタイルから見れば、政府内の経済財政諮問会議、ひいては財務省が菅政権の主導権を握れるともかぎらない。課題によっては、菅首相自らが各方面の意見を聞き、自分で判断するという、トップダウン方式による新たな政策決定過程になるかもしれない。その場合のスピード感はこれまでより速くなるだろう。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

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