【突破する日本】ペーパーレスは序章に過ぎない!? 「デジタル化」が引き起こす恐るべき社会変革 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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ペーパーレスは序章に過ぎない!? 「デジタル化」が引き起こす恐るべき社会変革

 菅義偉政権の誕生は、時代の要請によると言ってよい。新型コロナ禍で明らかになった諸課題を解決するためだ。その代表的課題が「デジタル化」だ。ただ、この政権はそれを一般に思われている以上に加速化させ、この国や社会を今とはまるで別物にしてしまう可能性がある。

 「デジタル化」は現在のところ行政事務での押印の廃止が注目されているが、これで終わるはずがない。私の関わる政府の会議は、菅政権発足後すぐにペーパーレスになった。書類の郵送が廃止され、データの送信となった。これは序章に過ぎない。

 大学の話をしておこう。コロナ禍で大学の授業はオンライン形式となった。さまざまな形態があるが、代表的なのはパワーポイント資料にナレーションを付けるかたちだ。各教員が手作りで対応した。

 感染者数が落ち着いた後期(2学期)以降は、文科省が大学の教室での対面授業を求めているが、ゼミや実習、実験は対面授業を行うものの、大教室での講義は引き続きオンライン授業にしている。コロナが収束してもこの形は変わらない。オンライン授業の効用がわかったからだ。大教室での授業はなくなる。

 すると大学は教室が要らなくなる。すでに都心部の大学は不動産の売却を始めた。日常的に大学に通う学生の数も激減する。周辺の商店は経営が成り立たなくなる。企業がテレワークになったことで大規模なオフィスが不要になり、会社帰りの人たちを顧客にしていた飲食店の経営が成り立たなくなるのと同じことだ。大企業のオフィスの契約更新時期は2年後に集中している。街の姿が変わる可能性は高い。

 大学のオンライン授業は、現在は各教員の手作りの教材で対応している。しかし、教材はやがて商品化される。多額の資本を投入した優れたコンテンツが開発される。すでにその動きはある。そうなれば、教える人は必要なくなる。特に体系のある学問、例えば、経済学や法学、その他の分野でも、概論は学界の有名な学者が監修したコンテンツさえあればよい。

 大学教員の大リストラの可能性が高い。米国の大学ではリストラが始まっている。私が関係している政府の高等教育に関する会議でも、ほとんどの委員から「コンテンツを内外で共有化できるように」との意見が出されている。慎重な意見を述べるのは私くらいだ。

 日本学術会議の会員任命見送り問題で、左派の学者は「学問の自由」が侵害されたと騒いでいるが、もっと深刻な問題が突き付けられている。なぜ、そちらの方に目を向けないのか不思議だ。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。皇室法制、家族法制にも詳しい。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学国際学部教授。内閣官房・教育再生実行会議有識者委員、山本七平賞選考委員など。法制審議会民法(相続関係)部会委員も務めた。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)、『公教育再生』(PHP研究所)、『明治憲法の思想』(PHP新書)など多数。

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