「学術会議が正しい」は思い込み?フォーカシング効果とは (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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「学術会議が正しい」は思い込み?フォーカシング効果とは (1/2ページ)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題について。

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 「菅首相が学問の自由を侵害、日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否」という報を聞き、最初にこう思った。菅政権はそんな所にまで首を突っ込むのか。学問の世界に政治を持ち込み、その人事権まで掌握したいのかと。

 安倍政権を揺るがした森友・加計問題で“忖度”というフレーズが流行語になり、政権による官僚支配が問題視されたのはほんの数年前。その元凶となっていたのが、第2次安倍政権で創設された「内閣人事局」の存在だ。政権が官僚の人事権を握っていたことで、官僚は国民ではなく、政権や官邸の顔色を伺いながら行政を行うようになった。

 任命を拒否された6人は、いずれも政府に批判的な発言をしてきた過去があるという。専門分野では著名な学者として知られているが、安全保障法案や共謀罪法案について、政権とは反対の意見を述べてきた人も含まれているらしい。そう聞けば尚更のこと、菅政権はここでも人事権を握り、学術会議を“政府の言うことを聞く御用学者の集まり”に変えたいのではないかと思えたのだ。

 菅首相は任命拒否の理由について、「総合的、俯瞰的な視野で活動を確保する観点から判断した」と説明したが、何の説明にもなっていないためますます批判が集中した。また、16日の日本学術会議の梶田隆章会長との会談でも、任命拒否の理由は話し合われなかった。モリ・カケ・桜と問題が明るみに出る度に「説明責任を果たす」と言いながら、お茶を濁すような説明を繰り返してきた安倍政権の前例があるだけに、その政権の官房長官を担ってきた菅首相の政権は、発足時に掲げた「悪しき前例主義の打破」ではなく「前例踏襲」ではないかと学者たちやメディアは騒いだ。

 今思えば、この時私の中では「フォーカシング効果」が起きていた。フォーカシング効果とは、「アンカリング」とも呼ばれる認知バイアスの1つで、最初に接した情報に引きずられて、物事の特定の側面や一部の側面だけにしか着目せず、判断を誤る傾向のこと。今回の問題で言えば、「学問の自由を侵害」というフレーズが最初に強烈にインプットされたことで、学術会議が全て正しいという前提が頭の中で出来上がり、その流れで問題を判断しようとしてしまったのだ。

 これに気付いたのは、さまざまな番組がこの問題を取り上げ始めると、違う情報や意見が聞こえてきたからだ。学術会議は「学者の国会」と呼ばれ、独立性を重視し運営されてきたが、実は政府の機関。新会員は、会議が推薦した候補者を総理が形式的に任命することになっていたが、総理に拒否権がないわけでもないという。また、安倍政権になって以降、事前協議も行われていたようで、任命拒否も今回が初めてではないのだ。

NEWSポストセブン

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