【国家の流儀】菅首相の初外交に合わせて日米豪印が連携 アジア太平洋の将来左右する「4カ国の戦略的対話」を注視せよ - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【国家の流儀】菅首相の初外交に合わせて日米豪印が連携 アジア太平洋の将来左右する「4カ国の戦略的対話」を注視せよ

 菅義偉首相は、外交が不得手だと言われるが、果たしてそうなのだろうか。

 10月18日から22日、菅首相は初の外遊、つまりベトナムとインドネシアを訪問した。その目的は、日本主導の「自由で開かれたインド太平洋構想」に対する支持を取り付けることであった。

 19日には、ASEAN(東南アジア諸国連合)外交に関する政策スピーチを行い、「南シナ海をめぐる問題の全ての当事国が、力や威圧によらず、国際法に基づく紛争の平和的な解決に向け努力することが重要だ」と、中国の南シナ海「進出」を批判した。

 ほとんどの人が見逃しているが、この19日の菅首相のスピーチに合わせて次のような動きがあった。

 第1に、米海軍、海上自衛隊、オーストラリア海軍の艦船が、中国の海軍基地がある南シナ海において共同訓練を実施した。菅首相のスピーチを日米豪3軍が側面支援したわけだ。

 第2に、インド国防省が、日米両国と毎年実施している合同海上演習「マラバール」に今年はオーストラリア軍も参加すると発表し、「クアッド(Quad)」と呼ばれる「日米豪印戦略対話」が着実に進んでいることを強調した。中国との国境紛争を抱えているインドも、日米豪との軍事連携強化に踏み切ったわけだ。

 第3に、岸信夫防衛相は19日、オーストラリアのリンダ・レイノルズ国防相と防衛省で会談し、自衛隊が他国の艦艇などを守る「武器等防護」の対象にオーストラリア軍も加える方向で調整を始めることを確認した。

 その意図について、岸氏は翌20日の記者会見で、「オーストラリアは特別な戦略的パートナーであり相互運用性の向上が不可欠だ。連携する基礎となる『武器等防護』は、わが国の平和と安全や防衛協力にとって重要な意義のある活動だ」と説明している。日米同盟を、日米豪同盟へと拡大していく方向を打ち出したのだ。

 以上、3つの動きを受けて、第4に、スティーブン・ビーガン米国務副長官が20日の記者会見で、「クアッド」について「会合がより定例化され、ある時点で公式化されるべきだ」と述べたのだ。「クアッド」の会合を定例化することで4カ国および他のインド太平洋諸国との協力関係を強化し、自然災害や経済・安全保障分野での危機に適切に対応できるようにする意向を強調した。

 このように今回、菅首相のベトナム訪問に合わせて、日米豪印4カ国が一斉に動いたのは、もちろん偶然であるはずがない。ある意味、安倍晋三前首相の地球儀外交の成果でもあるが、世界第3位の経済大国である日本が主体的に動けば、呼応する仲間が現れるのだ。

 アジア太平洋の将来を左右する「日米豪印4カ国の戦略対話」にもっと注目しようではないか。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。

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