エリート養成校をめぐり札束が飛び交う北朝鮮の「汚受験」 (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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エリート養成校をめぐり札束が飛び交う北朝鮮の「汚受験」 (1/2ページ)

 金日成氏は、北朝鮮建国前の1947年、平壌に革命家遺族学院を設立した。抗日パルチザン活動中に命を落とした人たちの子どもを教育し、「赤い貴族」とも呼ばれる国を支えるエリートを養成する機関だ。歴史と格式を誇る万景台(マンギョンデ)革命学院を頂点に、女子専門の康盤石(カンバンソク)革命学院、セナル革命学院など、全国に複数の学校が存在する。

 かつてより枠は広がったとは言え、誰もが入学できる状況にないことに変わりはない。革命烈士、愛国烈士と呼ばれる功労者、朝鮮労働党、国家機関、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の幹部の子弟だけが対象となり、地元の党委員長、保衛部長(秘密警察)、安全部長(県警本部長)などによる審査を経て、入学が推薦される。

 権限のあるところにカネが飛び交うのが北朝鮮の常。ここでも、「お受験」ならぬ「汚受験」が横行している。黄海南道(ファンヘナムド)では、革命学院受験をめぐり、一騒動が起きていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

 黄海南道では先月24日、革命家遺児を革命学院に推薦する事業の審査が行われた。対象となった子どものうち、6人が保衛部長の激しい反対で、万景台革命学院ではなく、ワンランク下の南浦(ナムポ)革命学院への入学を推薦することとなった。

 いずれも成分(身分)に申し分のない家の出だったが、保衛部長は直系家族に問題人物がいるとの理由を挙げて、強く反対したのだった。

 (参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

 この決定に強い不満を抱いた6人の親は、決定を覆すべく行動に出た。保衛部長が不正行為を行ったと「信訴」を行ったのだ。

 信訴とは、公務員による不正行為を告発するシステムだ。訴えられた側が逆襲されたり、訴えが途中でもみ消されたりすることもあり、決して気軽に使えるものではない。子どもを革命学院に送れるほどの家族と言えども、保衛部に妨害されかねないと判断したのだろう。こんな手法を使った。

 「南浦革命学院に行くことになった子ども6人のうち、2人の母親が代表で信訴の手紙を書き、朝鮮労働党黄海北道委員長の家の前で2日間待って、直接手渡した」(情報筋)

 (参考記事:「訴えた被害者が処罰される」やっぱり北朝鮮はヤバい国

 訴えの内容とは、保衛部長が6人の書類を偽造して、万景台革命学院ではなく、南浦革命学院に行くように細工したというものだ。その裏では、他の受験生の家族から400ドル(約4万1000円)から1000ドル(約10万3000円)のワイロを受け取り、実力不足にもかかわらず、万景台革命学院への推薦を出したという、衝撃的な告発だ。

 党委員長はすぐに問題の検討に入り、信訴の内容を真実と認定。6人の子どもには問題がなく、むしろ保衛部長の決定に問題があったとの結論を出した。保衛部長は党委員会での思想検討(激しい批判)を受け、大佐から上佐に降格され、党からの厳重警告を受けた。

デイリーNKジャパン

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