金正恩が派遣した精鋭部隊、現場で「使いものにならない」と悪評 (1/2ページ) “暴走”北朝鮮
北朝鮮は今年、立て続けに3つの台風に襲われ、各地で深刻な被害が発生した。
金正恩党委員長は、「首都の優れた中核党員1万2000人で咸鏡南・北道にそれぞれ急派する最精鋭首都党員師団を組織する」と、平壌市の党員に向けた公開書簡で表明した。彼らは決起大会の後の9月9日に、列車などで現地へ出発した。
(参考記事:「首都党員師団1万2千人を被災地へ」金正恩氏が公開書簡)
大量のボランティアを受け入れた被災地だが、現地の人々は有難がるどころか激怒していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の住民によると、党員は各地の被災地に分散配属されたが、全く使い物にならないという。
土地をならして、レンガを成形し、住宅を建設するのが彼らに任せられた仕事だが、平壌でぬくぬくと暮らしてきたせいか、仕事がまともにできないというのだ。「やってる感」を演出してサボってばかりで、復旧作業は遅々として進まない。被災者からは「平壌遊び人」と揶揄される始末。
結局、被災者が立ち上がり、山の土を削って泥を掘り出し、土レンガを作って家を建てるはめになった。ちなみに土レンガとは、土と硬化剤を混ぜて1週間程度日干ししたもので、保温・保湿・通気性に優れているが、耐久性に問題があると指摘されている。
(参考記事:タワマン大好き金正恩、そのしわ寄せで国民は「土の家」に住む)
被災者の怒りの火に油を注いだのは、当局と国営メディアの態度だ。
被災者自らが建てた家を、あたかも平壌から派遣された党員が建てて、被災地がきれいに復興されたかのように大々的に宣伝し、サボってばかりいた党員を「一等功労者」として表彰するなどして、被災者を激怒させている。
(参考記事:「女性同盟突撃隊が活動を展開」北朝鮮メディアが強調)
お隣の咸鏡南道(ハムギョンナムド)でも、非難の声が渦巻いている。
洪原(ホンウォン)郡と端川(タンチョン)市の被災地の復旧作業には、地元住民が動員されたが、現場にいるはずの首都党員師団の姿がなかったというのだ。この地域に派遣された人員が少なかった上に、ほとんどがサボっていたためだが、そんな彼らに対して地元の幹部はたいそう気を使っていた様子だったとのことだ。
仕事のレベルも地を這う低さだ。彼らが建てた家は、外壁がはがれ、屋根が崩れ落ち、オンドル(床暖房)の工事がまともにされていない「新築のあばら家」だった。
被災者は、自費で資材を購入して家の修理を行っているが、元々使われていたのが土レンガで、セメントもきちんと入っておらず、壁はちょっとした衝撃でも崩れ落ちる有様。冬を前にして、被災者は「二次災害」に苦しんでいる。
