PCR検査規模拡大で忍び寄る「偽陰性クラスター」 検査時の一瞬だけ…実際は「陽性」 元厚労省・木村盛世氏「やみくもに広げることに疑問」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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PCR検査規模拡大で忍び寄る「偽陰性クラスター」 検査時の一瞬だけ…実際は「陽性」 元厚労省・木村盛世氏「やみくもに広げることに疑問」

 コロナ禍で医療現場が逼迫(ひっぱく)するなかで、恐れていた事態が起きた。PCR検査で実際には陽性なのに陰性の結果が出る「偽陰性」によるクラスター(感染者集団)が発生したのだ。低価格の民間検査を含めてPCRの件数が増えてきたが、偽陰性がかえって感染を広げかねない。専門家は「やみくもに検査を拡大することは疑問だ」と警告する。

 「偽陰性クラスター」が発生したのは、新型コロナ感染者を受け入れている大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)。病院によると、一般患者の専用区画で11月下旬まで6日間入院した70代の男性患者が、退院後の外来受診で症状を訴え、12月3日に陽性と判明。同室だった患者ら11人、主治医ら医療関係者9人の感染が相次いで確認された。

 感染した患者は全員、入院した際のPCR検査で陰性だったが、「偽陰性」が含まれていた可能性がある。同病院では面会や外泊は原則禁止で、換気や消毒、マスク着用などの対策もしていたというが、感染初期などは、こうしたリスクを排除できないようだ。

 東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は、「通常、感染者と接触した人物が発症に至るまで平均で5・7日の時間を要する。つまり、接触から5、6日経過していないと本来は陽性でも陰性と判定されてしまう」と指摘する。

 東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は「仮に検査結果が陰性でも、あくまで検査した瞬間は陰性というだけであり、1週間後には感染しているかもしれないという自覚を持つことが重要だ」と強調した。

 PCR検査をめぐっては、2000円弱から3000円程度の低価格で行う民間機関も人気を集めている。

 前出の児玉氏は、「民間のPCR検査によって、確認される陽性者数は増え、一時的に医療体制が逼迫する可能性はある。しかし感染が疑われる人を野放しにすれば、さらなる感染拡大を許してしまう。その意味では、民間による検査も必要だ」と評価する。

 菅原氏は「民間の検査で陽性だった場合、医療機関にかかり再度検査を受けるよう推奨されている。軽症・無症状であれば自宅での療養に移る患者も多く、必ずしも医療体制の窮迫につながるとはいえない」とみる。一方で「民間の検査では唾液を採取する事例が多く、鼻の奥をぬぐう検査と比べ検査結果に十分な精度を見込めるかという点が課題だ」と話す。

 症状がなくても民間などのPCR検査を受ける場合、体調不良で会社を休んで復帰する際や、取引先との商談や接客にあたって「陰性証明」を求められるといったケースもある。帰省や旅行をする際、検査で「陰性」となれば安心できると考える人もいるようだ。

 だが、元厚労省医系技官の木村盛世氏は「検査キットの精度も世界各国、メーカーごとに異なり、偽陰性だった場合の責任の所在も明確ではない。単なる不安から検査を受け、陰性だったからといって高齢者に安易に接触するのは非常に危険だ」と警鐘を鳴らす。

 PCR検査をめぐっては、当初から、とにかく規模を拡大すべきだという論者は多い。

 木村氏は、「PCR検査を拡大すべきだと主張する人も多いが、韓国など検査を大規模に実施した国でも感染再拡大のリスクを免れていない。民間検査を否定するものではないが、行政との連携がないまま、やみくもに広げることには疑問を感じる」と断じた。

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