【回顧2020】安倍前首相「外交」「憲法改正」で高評価 菅首相は抵抗はねのけ結果を - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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【回顧2020】安倍前首相「外交」「憲法改正」で高評価 菅首相は抵抗はねのけ結果を

 『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)という本をかつて書いたが、第1次内閣での安倍晋三首相には、かなり厳しい点数をつけた。小泉純一郎政権の官房長官から昇格したのち、必要な方向修正が不十分だったし、参院選で敗北して「ねじれ国会」にしてしまったからだ。

 しかし、2012年の再登板後の安倍首相には、最高クラスの評価をしたい。外交では、世界最高のリーダーとして尊敬された。米国のバラク・オバマ前大統領と、ドナルド・トランプ大統領と良い関係を築けたのは、世界で安倍前首相だけだ。南北朝鮮とだけは良くなかったが、強硬姿勢を貫くことが将来のためになる異常な政権だから仕方ない。

 憲法改正も、現実的なアプローチでかなり前進したと思う。スキャンダルは「モリカケ桜」という些事しか追及する材料がなかったことが重要だ。経済は改善したが、アベノミクスの「第3の矢」である産業の競争力向上がやや物足りなかった。

 どこが課題だったのかについて、政権幹部の一人に質問したら、「人が良いので抵抗勢力に少し甘かった」と言っていたが、その通りだと思う。

 そして、それは菅義偉氏が後継首相になったことに積極的な意味を与える。菅首相は外交が得意分野とは思えない。堅実なチームプレーで大過なくこなすことになろう。

 大きな国家ビジョンを示してもいない。首相になるつもりがなかったがゆえに、準備ができてなかったと思われる。早く、首相にふさわしいブレーン集団に刷新して、方向性を見つけることを期待したい。

 菅首相は個別具体的な課題を正しく分析し、官僚機構や業界などの抵抗をはねのけて結果を出すということにかけては、天才的なものがある。「電子政府」「携帯電話料金」はかなり期待できそうだし、観光支援事業「GoToトラベル」なども、私は最高度に評価したい。

 しかし、日本学術会議問題などの文科省関連、地方自治や地方分散、そして、日本最強の岩盤規制が張りめぐらされて、政治力も並大抵ではない医療関係では、安倍前首相も菅首相もやられっぱなしであって、新型コロナウイルス対策も隔靴掻痒(かっかそうよう=痒かゆいところに手が届かないように、はがゆくもどかしいこと)である。

 私は、日本の医師のあり方に強い批判をこれまでもしてきたが、なかなか、賛同が広がらなかった。

 しかし最近は、「欧米の何十分の一の患者で、なぜ医療崩壊するのか」「コロナの現場から医師が敵前逃亡しても批判されない医師の世界のモラルの低さ」などと指摘すると喝采してくれる人が増えて、新型コロナで問題が浮き彫りになったと感じる。

 菅首相にも、医療界に怖がられる宰相であってほしいと思う。

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『ありがとう、「反日国家」韓国』(ワニブックス)、『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』(ワニブックス)など多数。

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