【軍事のツボ】西太平洋に展開する英空母「クイーン・エリザベス」といずも型護衛艦 (1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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西太平洋に展開する英空母「クイーン・エリザベス」といずも型護衛艦 (1/3ページ)

 英国防省は2021年1月4日、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を核とする空母打撃群(CSG=キャリア・ストライク・グループ)が初期作戦能力(IOC)を獲得したと発表した。2019年2月にウィリアムソン国防相(当時)がクイーン・エリザベスの太平洋派遣を表明しており、IOC獲得でこれが実現可能になった。実現すれば南シナ海などへの海洋進出を進める中国に対する強い牽制(けんせい)となる。一方、海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦のいずも型を改修して事実上の空母とするが、クイーン・エリザベスのような使い方ができるのであろうか。

 クイーンエリザベスは英国海軍最新鋭の空母で2017年12月7日就役。全長284メートル、満載排水量6万7699トン。飛行甲板の艦首部には上向きの傾斜がつけられており、STOVL(短距離離陸垂直着陸)機のF-35Bを発艦させる。F-35Bを30機以上搭載する能力がある。

 同空母は就役が2017年だが、これはすぐに実運用にはいったということではない。建造されて不具合がないかのテストをした後に英海軍に引き渡された時期になる。

 英海軍は引き渡しを受けた後、艦の能力を十分に発揮できるよう乗組員の訓練をしたり、空母から離発艦できるようパイロットの訓練をしたりしなければならない。空母は単独では行動しないので、CSGを構成する他の艦との訓練も必要だ。

 こうして約3年かけて、空母を中心とする艦艇や航空機のまとまりとしてIOC獲得ということになった。これは実戦配備に必要な最低限の能力を備えたという意味で、英国防省はクイーン・エリザベスCSGのIOCについて「戦闘機からレーダーシステム、対艦兵器に至るまで、グループのすべての要素が正常に統合されて運用されたことを意味する」と説明している。

 さらに装備が完全に行き渡り、高度な戦闘任務につけるだけの訓練も完了すれば完全作戦能力(FOC)を獲得したことになる。英国防省はクイーン・エリザベスCSGのFOCについて2023年12月までに獲得するとしている。

 次にクイーン・エリザベスCSGはどういう編成なのか。空母自体は敵からの攻撃に対して弱い。第2次大戦時のミッドウェー海戦で日本海軍の空母4隻が一気に無力化された例に顕著に表れている。だから駆逐艦など護衛のための艦や燃料や弾薬などの補給艦が随伴する。さらに敵潜水艦から守るために攻撃型原潜も行動を共にしている。

 なぜ通常動力型ではなく原子力推進なのかといえば、速度の問題だ。通常、水上艦は時速12ノット(約22キロ)前後で巡航するが、通常動力型潜水艦は水中では5~6ノット前後で移動するといわれる。最高速は20ノット前後出るが、これは長時間続けられない。電池が持たないからだ。ところが燃料が事実上ほぼ無限にある原潜は、はるかに高速を長時間続けられる。米海軍のバージニア級原潜の最高速度は公表値で25ノット、推定では34ノット。英海軍のアスチュート級は29ノットとされる。

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