旧友ニコライのシリア派兵 ジュリア・ミント プーチンの国より愛を込めて
ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆さま!
「去年、シリアに行ったんだ」
それは、故郷の町で休暇中だった先週、近所のマーケットで偶然再会した旧友と話していたときに彼の口から出た言葉でした。その旧友ニコライは軍人で、彼らの部隊がシリアに行くように命じられたのは2019年の12月からの3カ月間でした。
まず彼らがシリアに到着したときに感じたのは、シリアの冬が想像していたよりも暖かかったことで、駐留中に雪が降ったことは一度だけでした。そのかわり、しばしば雨が降るので道は常にぬかるんでいて靴はいつも泥だらけだったそうです。
彼らの使命は、紛争解決のために地元の人々と良いコミュニケーションを取りながら地域をパトロールし、人道援助活動をすることで、部隊の基地はトルコとの国境近くにありました。ですので、この地域での平和維持活動はトルコ軍と合同で行ってるのですが、地域によってはアメリカ軍と合同パトロールをした例もあったそうです。
実際、当時の状況は地元民同士の数回の銃撃を除いて比較的穏やかだったので、地域の人々はロシア軍に友好的でした。
しかし、破れた服を着て農業に従事しながら老朽化した家で暮らす彼らの日常を目の当たりにした隊員たちは、シリア人が置かれた現在の過酷な生活状況に同情を禁じえなかったそうです。
さらに、子供たちの生活環境は最悪であり、さながら動物のような弱肉強食状態に陥っていると言います。例えば子供たちに食べ物を与えても、強い子供だけが食べ物を取り皆に分け与えないので、隊員たちは女の子や小さい子供にも食べ物が行き渡るように常にケアしなければならなかったそうです。
その上、教育に関しても深刻な問題を抱えていて、再開された学校には、教科書、文房具、教師のすべてが足りていません。
それでも、イスラム教の安息日である金曜日だけは地域に静かな平穏が訪れます。金曜日は誰もが仕事を止め、敵意さえもこの日だけは止まります。
幸いなことに、駐留期間中ニコライの部隊は誰も死なずにすみ、無事ロシアに帰ることができましたが、期間中現地で友人になったシリア軍兵士は後日命を落としたそうです。
別れ際にニコライは言いました。
「僕らの基地は敵対行為で破壊された後に修復された学校だったんだ。廃虚になっていたこの場所で、かつてはたくさんの子供たちが勉強し校庭を走りまわっていたんだ、と想像したときだけは胸が痛かったよ」
シリアに早く完全な平和がくることを心から祈ってます。
■ジュリア・ミント 1994年ロシア連邦バシコルトスタン共和国生まれ。エカテリンブルクの医科大を経て、現在は大学院で眼科学を専攻する傍ら、日本人コンポーザー・トモキヒラタと共にノーザンスタイル・ダンスミュージック・ユニット“Crystal Mint”を結成。シンガーとして、主にヨーロッパで活動中。特技は英語、腕立て伏せ。(crystalmint.info)
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